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    波間の国のファウスト 感想

    作品名波間の国のファウスト
    メーカーbitterdrop発売日2012年6月29日
    原画オダワラハコネ、ひなた睦月、とりしも、志岐シナリオ佐藤心
    momiji、小倉みうムービーKIZAWA studio
    対応OSWindowsXP/Vista/7お気に入り度7/10
    ディスクレス点数76点
    プレイ時間約15時間(管理人基準)



    ――どれだけ稼げば、取り戻せますか?
    ――答える言葉は、今はもう無い。




    この腐った国を買い叩く、買い叩く、買い叩く! 

    という訳で経済をテーマにした異色のエロゲ、波間の国のファウストの感想です。
    いやあ、ハゲタカ大好きなんでこのゲームは公式サイトがオープンした時からずっと楽しみにしていたのですが、味のある良いゲームでした。

    まさか、エロゲで企業買収とかバルクセールが見られるとは思わなかったので興奮してしまいましたよ……ただ、シナリオや主題歌、BGMは良かったのですが、絵の塗りやエロの薄さ、物足りないシステム面が足を引っ張っている印象でしたね。
    あと、こんなにニッチかつ難しい専門用語が飛び交う題材なのに用語集的な機能がなかったのも残念なところ……ですが、魅力溢れる内容なのは確かですので、売れて欲しい! 切実に。

    というわけで、以下は詳細な感想です。(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)




    ちゃんと攻略できるヒロインは白亜のみです。嘘ではありません、本当です。というのも一本道なのですよ、このゲーム。
    なので選択肢はもちろん皆無で攻略も糞もありません。ひたすら買い叩く……じゃなくて読み進めるのみ。シナリオの形式的には車輪やG線なんかの方式なので、一章ごとに一人ずつスポットが当たっていく感じではあります。ルート分岐はありませんけどね。
    ただ、一つの章をクリアすると回想モードにif展開として、その章でスポットが当たったヒロインと結ばれるお話が用意されています。あくまでおまけなのでいちゃいちゃ分なんかを求めていると痛い目を見ますが、告白シーンやエロも用意されています。


    システムについて。
    スキップ、バックログ、オートモード、右クリックでのウインドウ消去など、最低限のモノは用意されているのですが、ウィンドウ濃度の変更、個別のボイス設定がないのが悔やまれます。
    前者はなくても特に困らなかったのですが、後者は人物によって声の大きさが違ったので調整したかったですね……。声が小さいキャラに合わせると声が大きいキャラのセリフがうるさく、その反対も然り。目くじらを立てるほどではないのですが、快適か? と問われるとNOと答えざるを得ないです。


    次に原画。絵に関してです。
    背景はADVパートのものは綺麗なのですが、イベントCGになると途端に劣化するという良く分からない仕様。一応全部が全部ではないのですが、酷いものになるとちょっとこれは……と言った感じ。多分、塗りの問題なんでしょうけどね。妙にチャチな感じがするものが混じっています。

    CGはと言うと、複数原画故かクオリティにかなりバラつきが……。男性を担当している志岐さんはイベントCGでの若干の崩れ以外は文句なしの出来なのですが、ヒロイン担当の方たちがちょっとなあ、という。
    特にオダワラハコネさん担当のつぐみと白亜が立ち絵と一部のCGがイマイチ。逆にひなた睦月さん担当の凪は比較的安定している印象でしたね。まあ、一つ擁護しておくとイベントCGでは大体ヒロインも可愛く描けているのでそこは安心しても良いかと。
    ただ、背景でも言ったように塗りがかなり悪さをしているように見受けられました。なんかチャッチいんですよ、本当に。ここが残念でなりません。


    次にメインのシナリオ&キャラクターについて。
    世界観は独自色が強く、一応は現代または現代からそう遠くない未来なのですが、舞台が直島経済特区という、分類上は日本でありながら、経済に関して独自の法律や制度が敷かれていたり、日本の本土とを繋ぐ経路は封鎖状態にある場所というかなり変化球な設定です。

    キャラクターは主人公やヒロイン、サブキャラともに独自の信念や目的を持って動いており、描写の扱いに差はあれどそれなりに濃い感じです。
    また、立ち絵のないモブキャラも中々の存在感を放っており、物語に彩りを添えてくれます。個人的に脇役がしっかりとしているのは好印象。良い物語には必須の要素だとも思っていますので、素直に賞賛したいですね。てか、杉野さんマジ良キャラ。

    主人公の律也は外国帰りの腕利きファンドマネージャーの肩書きに相応しく、有能な人物で、過去に複雑な事情を抱えている、いかにもな主人公。一章辺りまでは天然染みたポカもやらかすので、彼の能力に疑問を持たれるかもしれませんが、二章からその本領を発揮し始めます。
    また、基本的に冷静に物事を判断して、相手の一歩先へと動こうとするタイプですので、見ていてストレスも感じませんね。きっちりと見せ場を頂いていくのも好印象。やはり活躍しないと主人公とは言えないですから。
    ただ、ボイス無しなのは残念。記者会見の時とかにボイスがあればかなり燃えただろうだけに惜しい。


    キャラクターのCVは合っていたと思いますが、白亜とつぐみの演技がイマイチかなあと。逆に凪はサブキャラ勢含めても頭一つ抜き出た演技だったと思います。手塚りょうこさんGJ.

    以下は男女別お気に入りキャラ。

    男……律也、和彦、杉野。
    女……白亜、サラ、リコ、凪。
    ?……カナタ。


    ヒロインで一番好きなのは白亜なんですけど、破壊力が高かったのは凪ですね。やはり強気な女の子がデレるというのは非常に良いものです。
    サブキャラでは和彦とサラが良い感じ。特に和彦はもっとなじってくれよお! とか、これ以上ないぐらいのドヤ顔で発するマイワードイズマイボンド(キリッ)なんかを始めとするネタ発言が多いのは置いといて、若干歪んでしまったとはいえ、根っこにある真っ直ぐな行動原理とかは男として共感するものがありましたね。
    サラはもう後半の白亜との車内でのドジっぷりに尽きます。あれはずるいわ。

    にしてもリコ姉ちゃんのエロがないのは納得行かない。


    テキストは読みやすいです。特に言うことのないエロゲ一人称。ただ、前にも言ったように豊富なビジネス用語、オリジナルの用語があるにも関わらず用語集がないのはキツイですね。
    これがあるとないじゃ雲泥の差があるので何とかして付けて欲しかったところ。


    そして、シナリオについて。
    なんですけど、体験版部分で既に中規模のネタバレがあるため、説明が難しい……。

    お話の内容としては以下のような感じ。
    数年の間、海外に渡っていた主人公・律也はとある目的のために故郷の直島経済特区に戻ることになった。その目的とは特区を統べる最大の企業、クロノスインベストメントの最高責任者――通称ハゲタカの後継者を決める試験を受けること。
    立ちふさがるのはかつて置き去りにした幼馴染たち。胸に一物を秘めながらも律也は試験に勝つため、故郷でのビジネスを始めていく……。
    ※この世界のハゲタカは蔑称ではなく、栄えある称号として扱われています。

    とまあ、こんな感じ。話の展開としてはハゲタカ試験に勝つため、直島ではほぼゼロからのスタートと言っても良い位置からビジネスを繰り返して成り上がっていく展開です。
    ただ、裏側で渦巻く思惑や律也の真の目的、幼馴染との因縁などが複雑に絡み進んでいくシナリオは読み応えがあります。ぶっちゃけ、ビジネス以外の話……具体的に言うと姉さんの死の真相や幼馴染関連の話も割りと絡むのでビジネスパートは雰囲気だけ掴んで読み進める、てのでも全然楽しめると思いますよ。
    また、ハゲタカの名に相応しく、企業買収の話も用意されていたりと、手に汗握るマネーゲームを楽しむことが出来るのも好ポイント。(まあ、ハゲタカなんて単語がメインにある割には全然買収なかったのは残念ですけど。もっとやろうぜM&A!)
    しかし、物語全体で見るとビジネスと過去の因縁の話にかなりの比重が置かれているため、日常やヒロインとの恋愛なんかはほぼ皆無と言って言い状態なので、そこらへんも注意が必要。

    後は全体として見るとやや短いながらも、大きな矛盾点もなく、良くまとまったシナリオなのですが、ちょっと特区についての説明が足りなかったかなあ、と。最終章まで来ても未だに不透明な部分があるのがなんとも……まあ、気にしたら負けといえばそうなんですけどね。


    音楽について。
    BGMは曲数は平均的ですが、中々のクオリティ。ピアノ主体の静かな曲が多いのが特徴ですね。また、メロディ自体はおとなしくも、テンポが速く、こちらの緊張感を煽るようなBGMがあり、それがディールのシーンに良くマッチしてるのが良かったですね。
    孤空へとハンティング・グラウンドがお気に入り。

    ボーカル曲は以下の通り。

    OP……少女の空白プリズン
    ED……全て移ろい過ぎゆくものは
    の計二曲。

    お気に入りは少女の空白プリズン。
    もうね、この曲はやばいですよ。涼やかなメロディにmomijiさんの透き通った歌声、どこか切なげな歌詞。全てがツボに入ってしまい、もう今年のエロゲソングNo1はこれだよ!! と全力で言いたい名曲。今現在も元気にリピート中ですよ。
    歌詞が本編……というかある人物を表しているのもGOOD。

    あとでどうでも良いですけど、少女の空白プリズンの歌詞を検索して、このブログに来る方が多いみたいなので、耳コピですがフルの歌詞を。

    空白を 溶かした 小部屋に 別れの 言葉を 置き去りにして

    高く 高く 透明な空に 捧げる 涙と

    心を撫でる 風は呼び声 今 君の 影は飛び去る

    窓を閉じ 背を向けたまま この罪の報いに散った 花びらを独り探そう

    重ねた 空ろな約束 もう一度 出会いを 辿ってみても

    正解なんて 分からなくて 記憶を閉じた

    心を撫でる 風は呼び声 嗚呼 君を思い出させる

    窓を閉じ 膝を抱える この傷の痛みはきっと 永遠に癒えはしない

    あてもなく 魂の種 ずっと ずっと 祈り続ける 世界を 嗚呼

    どうか 心を撫でる 風は呼び声 今 君の 影は飛び去る

    窓を閉じ 背を向けたまま この罪の報いに散った 花びらを独り探そう

    花びらを独り探そう


    最後にエロについて。シーン数は以下の通り。
    白亜……2
    凪……2
    つぐみ……2
    サラ……1
    カナタ……1

    回数も少なく、尺もやや短めなのがなんとも……一応抜けないことはないですが、もうちょい頑張れよ、と言いたい。白亜の二回目のエロは良かったけどね。一人だけ二回戦有りだし。
    ちなみにおしっこは凪に1シーンあります。SEないけどな!(怒)


    感想は以上です。
    良いゲームでした。シナリオだけなら先月の大空、先々月のものべのを越えると思いますが、いかんせん一本道であること、絵やシステム、エロが足を引っ張ったのが70点台に甘んじた原因ですね。この辺りが普通に良かったら余裕で80点の出来なのですが……。
    それはともかく、小説orドラマのハゲタカを始めとするエンタメ色強めの経済モノが好きな方、体験版が気に入った方には是非とも買って欲しい一本です。このまま埋もれてしまうには惜しい作品なので、ここは一つお願いします(笑)

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