PREV | PAGE-SELECT | NEXT

    ≫ EDIT

    ノラと皇女と野良猫ハート 感想

    作品名ノラと皇女と野良猫ハート
    メーカーHARUKAZE発売日2016年2月26日
    原画大空樹、日下部ハルカ(サブ・SD)、亜門(サブ)、ひずみ(サブ)シナリオはと
    小鳥居夕花、遥そら、神代岬、桐谷華、雪ノREN、都乃、しろめムービー森井ケンシロウ
    対応OSWindows Vista/7/8.1/10お気に入り度7/10
    ディスクレス点数75
    プレイ時間約19時間


    前作・ らぶおぶ恋愛皇帝 of LOVE! で色んな意味で鮮烈なデビューを飾ったHARUKAZEの新作の感想になります。
    うーーーーん、評価に困るんですよねぇこの作品。まあ全体的にはヒロインルートの格差が凄まじかったり、我が道を往く強烈なポエムなどで暴走しがちだった前作よりかはだいぶその辺が抑えられてマイルドにはなりましたが(これを成長と見るか牙が抜けたと見るかは触れる人次第か)、本質はそこまで変わっていないなという印象です。
    魅力的なキャラとノリだけで突っ走り崖から落ちながらも無事に着地しました! と笑顔でゴリ押すような掛け合いも健在。好きな人には堪らないバカゲーではありますが、難点はやはりシナリオか。
    らぶおぶと今作でライターの持つストーリーに対する美学が見えてきたような気がします。

    以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)。


    ◆ルート構成+シナリオ

    攻略ヒロインはパトリシア、黒木、シャチ、明日原の四名。特にルートロックはかかっておらず、前作・らぶおぶ恋愛皇帝と同じく選択肢一発で分岐する簡単方式です(流石に選択肢に括弧書きで該当ヒロインの名前入れたりはなくなりました)。
    ルート格差も前作のスーとピンク髪のようなレベルのものはなくなりましたが、本作でもあります。明日原とシャチが手抜きか。特に後者。
    内容的に見せたいのはコメディとシナリオっぽいのでゲーム性を廃して極限まで簡素にしているのはそれはそれで潔くて良いのかなと思います。

    という訳なので、本作が合うかどうかは作品の大半を占めるコメディパートを受け入れられるかどうかに掛かってきます。
    んーこれどうなんでしょうね。正直、私はノラととやらぶおぶの勢いだけでなんとかする脈絡も何もないコントは大好きなんですけど、言ってしまえばその場のノリでテキトウに暴走してるだけなので、コメディでも流れがちゃんと作られていないと嫌という方やストーリーあるならそっちの方にもある程度関わった内容じゃないと意味なくね? みたいな方はまず合わないだろうなという感じです。
    ぶっちゃけシナリオ的には特に意味をなさないパートが作品の大半を占めている、ともとれますからね。
    逆にこういうのを受け入れられる人は合間合間に挟まれる謎のショートコント・猫のお考えも合わせて楽しめる可能性大です。頭空っぽにして変なの見たいぜ、という方にオススメ。
    テキストのテンポやキャラが良いことに加え、声優陣の演技がハイレベルなので結構ニヤニヤできます。特にコメディパート時の桐谷華さんの輝きぶりが凄まじい。体験版範囲のエロ本買いにきたノラに対する明日原の反応ほんとすき。一生聴いていたい。

    あとは前作ファンに向けて言うなら、らぶおぶであったようなレトリックは大分減ってしまったなという印象がありましたので一応。ポエムの方はそれなり。

    また、作品全体の注意点というか、駄目な点がいくつかあって、一つに本作は戯曲でも意識しているのか知りませんが、セリフに括弧書きでキャラの行動や感情に対して補足を頻繁に付けているんですよね。(呆れつつ)○○○~みたいな。これは正直、後述するナレーションと合わせて邪魔としか。
    だってこんなの声のトーンやSE、画面演出、前後のやりとり見てれば猿でも分かるじゃないですか。で、本作はコメディ中心なのでその辺のテンポの良さはちゃんとあるんですよ。
    でも何故かこういう無駄にしかなってない補足を付けて、テキスト以外の要素を無視したものをぶち込んでいるので、折角のゲームとしてのテンポの良さを殺した上で散らかった印象をプレイヤーに与えているんですよね。
    前作よりコメディでのSEの使い方などは良くなっているだけにとても勿体無いんですよねぇこの辺。無駄なテキストを極力省くという方針ならもっとSEや絵などのテキスト以外の要素を信頼するべきかと。

    二つ目に本作では地の文の大半がナレーションで構成されているということが挙げられます。
    付けた理由は申し訳程度にありましたが、やはり邪魔としか。上で挙げた括弧書きによる補足と同じで、わざわざ事細かに心情言われんでもわかるし、テンポを殺す結果にしかなっていないです。コメディとしては致命的。
    また、こういう理由を付けるならナレーションは最初からなしでパトルートの海へ向かって手を合わせるパトみたいな描写を少々盛り込んで最後に幽霊母親との対面だけで済ませたほうが良かったと思います。
    全体を汚してまで付けるものではないなと。まあ幽霊母との対面みたいなシーンに弱いオタクなんでグッと来るものはありましたけども、ナレーションなしでも成り立ちますしね……。

    以下シナリオ雑感。

    ◆明日原ルート
    ヒロインというか登場キャラの中で一番の常識人。それに加えてボケもツッコミこなせちゃうハイスペックギャル。

    ルート内容としては貧しさにやられ不登校からの不良化コンボをキメるものの、ノラを始めとする友達のサポートによって更生したという過去と現在では更生したはいいものの不良時代に築いた因縁に影で悩まされていることが明かされる~という感じ。

    基本的に過去も現在も何かに縛られたりして腐ってしまっている女の子を主人公・ノラやその友達が受け入れて支えて救うという王道展開。
    ノラの家が母親の代から託児所兼個人塾みたいなことをやっているという背景があるので、その辺りを明日原の不良設定と絡めて掘り下げていたのは良かったです。
    なんかノリが昔の日曜夜辺りにやってそうなドラマのそれでしたが、やっぱり社会的に駄目な人間(子供)たちが支え合って努力して世間や大人が言う真っ当に生きようとする姿はそれなりに来るものがありましたね。こういう悩める子供たちが主役のシナリオに弱い。

    しかし、ハッキリ言って平々凡々で残るものがないシナリオ。


    ◆シャチルート
    キャラは公式人気投票一位(まあ前作で公式が票操作した前科があるので怪しいですが)というのも頷けるほどの可愛さがあるものの、ノラとと中一番の手抜きルート。
    共通で突如出現したシャチの周りを漂う謎の機械について明かされたりするものの、肝心な所はノータッチで内容としてはひたすらシャチとイチャつくだけという退屈極まりないものでした。天界とかの内容を書くのを放棄した感じが濃厚に漂っております。
    この中身の無さがあけいろの美里ルートを思い起こさせる……。


    ◆黒木ルート
    ここ最近プレイしたエロゲで一番めんどくさい女、それが黒木未知。
    内容的にパトリシアの次に力を入れたのでしょうが、私が物語で一番忌み嫌う要素である「盲目的な家族信仰」でゴリ押す展開だったため、クソシナリオの判を押さざるを得ませんでした。まあそれがなくても微妙なんですけど。ま~キツい。

    基本的には秀才の誉れ高い黒木が、実は母親に私生活から何まで雁字搦めに縛り付けられて苦しんでいたため、ノラが頑張ってその環境から解放するという内容。
    しかし、前述した通り、母親の束縛からの解放手段として用いるのは理不尽への反抗等ではなく、「家族だから」何をされても愛あっての行動だと信頼し、母親と粘り強く話し合い、理解し合うこと描かれます。
    これがまーふざけていて真面目に吐きそうになるんですよね。ノラと黒木は母親への対処に苦しみながらもやがて付き合うことになるんですけど、黒木母はどこの馬の骨とも分からないノラを軽蔑し、黒木との仲を裂こうとします。
    黒木はそんな母親へ反抗の態度を示したりしますが、彼氏であるノラが繰り返し、母親の言うことはどのようなことだろうと聞くべきと盲目的な信頼を示すように説くので、反抗することなく、言うことを聞き続けます。
    やがてノラが黒木母の誕生日に自身の誠実さを示すために黒木と一緒に手作りの誕生日ケーキを贈ることになるのですが、黒木母は目の前でそれを投げ捨てます。
    娘の手作りだろうと、その彼氏が真剣に母親に認めてもらうために身だしなみと作法を整えて行ったことだろうと関係はありません。気に入らないから黒木母は無情にも捨てるのです。こんなものを相手にまだノラは「家族だから」信頼しろということを説き続けるものだから目眩がするんですよね。
    しかも黒木母がノラを嫌っている理由がノラ自身ではなく、今は亡きノラの母親への嫉妬が原因なのでノラではどうすることもできないオチがつくという。嫉妬の原因は同じシングルマザーであるノラ母が個人塾でたくさんの子供に好かれ、娘もそこで自分よりもノラの母に懐いていたからという理由。

    このライター、前作・らぶおぶやノラととでも大半のルートが理不尽な不幸をまず受け入れた上で先に進むという内容が多いんですけど、なんかこだわりあるんですかね? それはまあ良いんですけど、今回の黒木ルートみたいにそれを乗り越える方法が稚拙なので非常に微妙なモノへと仕上がっています。お世辞にもシナリオが良いとはいえません。
    発売間近の2もサブタイ的にこの要素はありそうですけど、どうなることやら。良い方向に完成度上げてくれると良いのですが。

    そして黒木ルートが駄目な理由としてはまだあってそれは黒木自身のキャラ性ですね。好きな人は好きなのかもしれませんが、ハッキリ言って彼女は面倒くさいことこの上ないことに加えクズです。
    ノラと付き合う上で黒木は理想の彼氏としての姿をノラにあれこれ求め、大変な時には助けも求めますが、自身は何をするでもない上にノラがピンチの時は見捨てるんですよね、彼女。
    ノラが学校である理由から盗人の疑いをかけられてしまうのですが、黒木はノラが無実なのを知っているにも拘わらず、関係者と見られることを嫌ってノラを庇おうともしないんですよ。母親からの優等生たれという束縛があるのを差し引いてもヒロインでこの所業は挑戦的過ぎる上に同じヒロインである明日原は自身のルートで似たような件があった時に自身を顧みずにノラを庇っていたので余計に黒木のダメさが目立ってしまっています。
    私は俗に言う邪悪なヒロインが大好きなので、クズい行為や外道な行い、裏切り等は受け入れられるんですけど、それはキャラの信念や目的に沿った行動である上での話で、いわば悪役としての魅力を求めてのことなんですよ。今回の黒木の場合はただただ保身に走る小物のそれなので不快でしたね。
    ルートの最後の最後に償いとでも言わんばかりの小話がありますが、数クリックでトントン拍子に進んでいくやっつけ感漂うものだったので、挽回できずに色んな意味で終わってしまった感じでした。南無三。

    ただ、ある意味では貴重とも言えるキャラなので気になる人はこれ目当てでプレイしてみても良いかも。それによって被った被害に責任はもてませんが。


    ◆パトリシアルート
    たぶん一番まともなルート。ナレーションの種明かしもここでされる(厳密に言えばシャチルートでも答えは言っていたが、まだそういう理由をつけた意味があるのはこちら)。
    パトは最初はそんなにという感じでしたが、中盤からどんどん可愛くなっていって、正直ニヤニヤが止まりませんでしたね。

    ルートとしては一応ルーシアパトリシアユウラシア三姉妹は冥界から来たという設定だったので、命というか生という概念がさっぱりわからない彼女たちが地上で様々な人々と触れ、自分たちが滅ぼそうとしていた地上や命とは何なのか、その意味を知っていくという真面目な内容。
    内容が内容だけに重い展開にもなりかけますが、そういったところでは割りとコメディチックに解決策が提示され、あっさり解決。
    らぶおぶは比較的本題に入ると真面目になっていた気がするので、その辺を変えようとしたんですかね? 個人的にライターが一番やりたいのはこういう真面目な部分だと見受けられたので無理に軽くする必要なくない? と思いましたが。
    あと正直、終盤の冥界の人間が地上でハートを授かってしまったのなら数合わせのために地上の人間を冥界に送らねばならないみたいな謎の理屈は何故そうなるのか分かりませんでした。
    でもこのルートは死生観含めてその辺はどうでも良くて、一番核になっているのはパトリシアと幽霊ノラ母の最後の会話かなぁと。

    「アナタは、そうして、なぜだろうと立ち止まる。なぜ、なぜと。わからなければ人に尋ねる。できないことを笑われても、決してくじけず、また誰かに尋ね、それでも分からなければ、なぜなのかと、立ち止まる。そうして、なぜだろう、なぜだろうと思い立ち止まる人が、世界を変えていくのです。誰に何を言われようと、後ろ指をさされようと、前を向いて進んでください。それが、母としての願いです」

    共通ルートからパトリシアは好奇心旺盛で冥界とは違う地上の理も自分で本や身体を使って調べ、分からなければ周りの人に何故と尋ねて積極的に学ぼうとしていきます。
    上の台詞のように時には小さな子どもにそんなことも知らないのかと馬鹿にされたりもしますが、パトは決して怒ったりしないで学んでいくんですよね。その姿勢が母の台詞と似たようなことを中学校の頃先生に言われた自分としては結構来るものがあって泣きそうでしたね。
    パトのこの姿勢をずっと見ていたから最後に冥界に行くことになったノラは学ぶ姿勢を崩さずに帰ってきて、やがてはまだ地上を滅ぼそうとしているパト母と冥界の常識も変えていくのかなと。



    ◆ビジュアル+歌

    前作ではヒロイン毎に原画が分かれていましたが、今作ではメインキャラは全て大空樹さん担当になり、安定感が上がった気がします。
    絵自体もらぶおぶより可愛くなっている感じがしますが、エロシーンではやや崩れ気味なのが玉に瑕か。個人的にはらぶおぶの頃よりもワイド画面を意識したCGが増えていて良かったと思います。ノラと腕を組んで黒きを挑発するパトとかノラと花火を見上げるパト、ネコ状態のノラを見下ろす黒木とか背景や広いスペースを活かした綺麗なのが多かったですね。
    あとCGモードに登録されていませんがシルエットだけのCGも雰囲気が出ていてGOOD。
    歌も前作はまっっっっったく印象に残りませんでしたが、今作は主題歌の野良猫ハートや僕が君を護る理由辺りが本編内容を表していて印象に残りましたね。挿入歌としても使ってましたし。


    ◆えっちなしーん

    内容はまあ普通。絵が前作より上手くなっている気がするので、そういう意味ではシコリティが上がっているかなと。特にルーシアお姉ちゃんえっちすぎる。また、下着デザインも前作はやる気なさすぎて嘆息するレベルでしたが、今回はまあ努力の跡は見られました。
    ただし、ルーシアとユウラシアのシーンでパトリシアも絡んでくるのが邪魔過ぎる!!!!! これだけははっきりと真実を伝えたかった……。
    あとルーシアのパイズリしながらのキスとかいう意味不明なCG、ノラの身体が完全な人外のそれになっていて気持ち悪かったです。止めるやついなかったのか……。

    パトリシア……5
    ルーシア……1(ただし、おまけでパトリシアも絡む)
    ユウラシア……1(ただし、おまけでパトリシアも絡む)
    黒木……4
    シャチ……5
    明日原……4

    感想は以上です。
    キャラが可愛く、楽しいゲームであるのは間違いないんですけど、それは一時のもので後に残るものは何もないんですよね。
    また、人を選ぶのとコメディ以外のシナリオの微妙さ、括弧書きやナレーションなどの明らかに邪魔な要素があってまとまりがない印象があったかなと。
    個人的にはそれなりに好きで、何かが良い方向に転べば化ける気配もあるため、2も程々に期待しております。
    関連記事

    | エロゲ感想 | 18:48 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

    COMMENT















    非公開コメント

    PREV | PAGE-SELECT | NEXT