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    ゴールデンアワー 感想

    作品名ゴールデンアワー
    メーカーNIKO発売日2017年7月28日
    原画南浜よりこシナリオ小西翼、垂花(夏未、すずルートアシスタント)
    夢乃ゆき、hanaムービーKIZAWA Studio
    対応OSWindows Vista/7/8.1/10お気に入り度7/10
    ディスクレス点数76
    プレイ時間約19時間


    moreの新ブランドNIKOの第一作目・ゴールデンアワーの感想になります。
    まあ新ブランドと言っても今までと何が変わったのかは分かりませんが……ともかく、前作・少女マイノリティはシナリオがヘボすぎたこと以外は好きだったので、再び南浜よりこさん原画(しかも今回は単独!)でちょっと暗めで儚さ漂う青春モノなんて出されたらシナリオがどうせ陳腐でダメなんだろうなぁと思いつつも買ってしまうわけです。夢乃ゆきさんの歌最高だしね。
    結果は……演出面等では少し成長が見られましたが、まーたシナリオが力不足過ぎて全体の足を引っ張ってるなぁと。ライターも良くないのだろうけど、プロットを作っているであろう代表もダメな気がします。
    本作のシナリオを一言で表すなら「独りよがり」ですかね。

    以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)。


    ◆ルート構成+演出

    ルート構成は共通→瑠璃→すず(おまけでリサ)→まりか→夏未→ユキと言った風に話を進める毎にスポットの当たるヒロインが一人ずつ入れ替わり、話の最後にそのヒロインからの告白を受け入れるか否かでヒロインルートに入るか本筋の話を進めるか選ぶ方式になっています。実質的には一本道。
    俗にドロップアウト、途中下車、枝分かれとか呼ばれているタイプですね。作品で言うなら千の刃濤、桃花染の皇姫や運命予報をお知らせしますなどをイメージして貰えればと思います。

    毎作のようにヒロインとの恋愛・青春模様を描くことを重視しているmoreとしてはこのルート構成を選んだのは正解かと思います。攻略順の制限もないですし、ヒロインのキャラを掘り下げやすく、振ったヒロインがそのまま続投されることもあり、恋愛に伴う痛みなどを描きやすい、ラストに回るヒロインで盛り上げやすくなりますし。
    少なくとも少女マイノリティのように無意味なロックを掛けるよりはずっと良いと思います。

    なのですが、結局それを活かせるかどうかはシナリオに掛かってくる訳で、本作はシナリオの力が無さ過ぎてあまり意味がなくなってしまったのかなと。

    演出面では立ち絵が話者の方向に向くようになっていたり、主人公から物理的に距離を取る際には立ち絵が奥に移動したりと少女マイノリティでは出来ていなかった空間を意識しているようなカタチになっており(不完全ではありましたが)、比較的リアル寄りの作風の本作にマッチしていて良かったと思います。
    要所でムービーを流したりするのもGOOD(ユキルートのそれは内容的にクレジットは外すべきだと思いましたが)。
    あとはまあこういった作風だとオーガストがやっているような専用背景に加工した立ち絵をくっ付ける疑似CGなんかも付けるようになるとよりシーン毎の印象が強くなったり雰囲気を出せて良いのかなと思いました。


    ◆シナリオ

    で、本作の一番ダメな点であるシナリオについてですね。

    ストーリーをざっくり紹介すると以下のような感じ(公式サイトのStoryより抜粋)。

    サッカー全国大会 地方予選決勝の直前、主人公・石森雄也は
    ケガによりサッカーが出来ない身体になってしまった。

    目標を失った雄也は夢や希望、そして恋を半ば諦め、ただ時間を潰す日々を過ごす。
    気になる女の子・広瀬夏未に対しても、どうせ自分なんてと興味のないフリをしていた。

    放課後に時間を潰すためゲームセンターへ向かう雄也は、ユキ と名乗る少女と出会う。
    彼女はとても似ていた。 広瀬夏未に。
    そして、初めて出会ったはずなのに、どこかそうじゃない気がして……。
    彼女は突然 雄也に告げる。
    「私があなたの恋を応援してあげる」

    基本的には上の経緯で出会ったユキに自身の恋愛を手伝ってもらいながら恋に右往左往する展開。
    一応広瀬夏未に告白するんだ~みたいなノリで行くことにはなりますが、ちょっと他の女の子にアプローチ掛けられたりすると途端に流されるタイプの主人公な上にユキにおんぶに抱っこなので人によっては結構イラつくタイプのそれかなと。チャラめのイケメンな見た目の割に消極的な言動が目立ちますしね。

    んー何なんでしょうね。ゴールデンアワーってシナリオが陳腐なのもありますけど、中途半端なんですよね。
    運命予報みたいに恋愛を真剣に掘り下げていくわけでもなく、かといってスクイズみたいにエンタメ路線に振り切るわけでもないと。イマイチ印象に残りません。
    作品のメインとなっているユキと主人公の関係の謎なんかも引っ張った割にはやたら雑に畳んできましたしね……あとなんかプー太郎だとかオシャンティ、チーマーとかやたら言葉のセンスが古いのも引っかかりました。
    作中でそれなりの頻度で出てくるパロネタに関してはオタク受けを露骨に狙った寒いものではなく、中高生の会話に出るようなものをチョイスしていたので、あまり気になりませんでしたね。
    他に細かいところだと誤字脱字がパッチを当てても非常に多かったり、既読文章は何故か最速表示固定だったり、夏未ルートで某戦極姫のような立ち絵が背後霊のように表示されるバグが有ったのも×。
    以下は各ルート雑感。

    瑠璃ルート
    サッカー部のマネージャーだった瑠璃は雄也のことが好きでしたが、とある理由から諦めて何度も告白されていたサッカー部キャプテンの手塚と付き合うことに。その後とりあえずというカタチで付き合った手塚の正体が自身のファンの女を喰い荒らすクズで瑠璃に対しても身体目的だったということが判明。
    怒った雄也は別れることを勧めますが、その際に雄也のことを諦めきれていなかった瑠璃と流れで関係を持ち、瑠璃は手塚と付き合ったまま、雄也は夏未に隠れたまま逢瀬を重ねることに……。

    手塚はクズなんですけど、瑠璃と雄也のクズっぷりを隠すために出したデコイ地味たキャラだったので、なんか不憫でしたね。
    別に不倫は良いですし、むしろ大好きな要素なんですけど、その行為を仕方がなくやっている、だから彼らは何も悪くないとでも言わんばかりに分かりやすい悪役を使用して不倫してるキャラを護るのは違うよなと。
    悪事を働く=キャラとしての魅力が損なわれるということにはならないので、その辺りを理解して描いてほしかったです。
    ラストの瑠璃を賭けたPK勝負もいくらなんでもご都合主義すぎてちょっとね……あと雅史くんの頑張りに対する雄也の態度に腹がたちました。というか雅史くんの方が雄也なんかより数倍良い男なのに何故モテないのか。



    すずルート
    人気読者モデルとして働いていたすずは学校前で待ち構えてくるようになったストーカー一歩手前のファンに悩まされていました。
    その現場を見た雄也は仲の良いすずを助ける為に護衛として一緒に下校するようになります。その後、すずのモデルとしての人気に嫉妬した同業者にけしかけられたストーカーたちにすずが誘拐され、それを助けるために雄也がユキと一緒に救出に行くというお話。

    コテコテ過ぎて何も言うことが……商品スペック欄に処占厨を意識した気持ち悪い備考を記載した割にはストーカーに犯される寸前まで描いていたのでちょっと笑いました。なんならBADエンドで陵辱入れればいいのに。
    あまり語ることはないですが、このルートの雄也は一番まっとうな人生を歩んでいそうでそこは良かったですね。恋愛に関してはブレブレですずを支えるためにマネージャーになるという決断も軽かったですが、頑張っていましたし。すずのビジュアルも良い……やっぱ眼鏡っ娘って最高だわ。なお声。
    ちなみに申し訳程度の分岐でリサとえっちすることができます。やったぜ。



    まりかルート
    まりかは主人公の元カノ。しかし、遠距離恋愛による自然消滅という終わり方だったので、お互いのことはまだ意識したままでした。
    ある日、見知らぬ中年男性とまりかが話したり食事しているところを見た雄也が援助交際だと勘違いしてやめさせようとしますが、実際はまりかに絵の才能があったたため、海外留学を勧められているという話なのでした。
    勘違いしたままの雄也は(援助交際を)やめろと言い、(絵で海外に行くのを)やめろと受け取ったまりかは条件としてクリスマスにデートを提案。そのまま関係を持ってしまいます。
    まりかは雄也が夏未を追いかけていることも知っている上で手を出してしまったので、雄也とは決して付き合わず、しかし、自分との肉体関係が原因で夏未に向き合えなくなった雄也と身体で慰め合う関係が続く……。

    うーーーーーん? なんだこの三流メロドラマみたいな内容は(今までも、というかゴールデンアワーは全部そんな感じですが)。
    この話も最後は結局グダグダになった関係を終わらせるために雄也に何も告げないまま付き合っていた時代の意趣返しと言わんばかりの海外留学キメて、雄也がそれを追っかけて終わりというもの。すれ違いの内容もしょうもないし。というかおっさん見て真っ先に援交疑う雄也の頭の中ピンク色すぎる……さてはエロゲユーザーか? こんなんで感想書くの辛くな~い?
    まりかの絵に対する姿勢とかそういったものがまるで見えてこないので、単に男に溺れて場を引っ掻き回した面倒な女としか。もちろん雄也もダメですけどね……
    というかこの作品、夏未の扱いがほんと雑で泣けるんですよね。


    夏未ルート
    ライターにも雄也にも一番便利なモノとして扱われていた夏未のルート。その内容もユキへの踏み台かつ、自身の話は大して出ない悲惨なものでした。
    雄也が夏未への告白未遂をしてから時が経ち、それでも変わらず告白を待ってくれていた夏未をついにクリスマスデートに誘うことになります。
    しかし、デートの前にユキと予行練習を行っている際にユキと手をつないでいるところを夏未に見られてしまいます。
    その後、夏未神の寛大さもあり、誤解を解き無事にデートして付き合うことに。そして雄也はサッカーを辞めてからなにも進路を考えていなかったため、夏未の勧めにより大学進学を目指して勉強を始めます。
    すると同じく勉強をしていた千尋という一学年下の後輩も仲間に入り、三人で勉強をすることに……。

    夏未、ユキルートへの分岐の仕方もガバガバ過ぎてクソなんですけど、このルートの酷さは夏未が大して関係ないところ。
    というのもこのルートはユキルートへの完全な踏み台であり、その主な内容は千尋という後輩キャラを使ってこの作品の根底にあるファンタジー要素を見せるためのルートだからです。不憫すぎて泣けてきますね。
    千尋の正体は共通ルートだかでチラッと出ていた学校の屋上から飛び降り自殺をした生徒、つまりは幽霊的存在なのです。共通ルートの肝試しの話で出たサエコだかなんだかですね。そんな千尋は自殺で命を失う寸前に悪魔と呼ばれる形而上学的存在と願い事を一つ叶える代わりに自身の存在を捧げる契約を交わしていました。
    千尋の願い事は「一人で学生生活を過ごす」こと……ならなんで夏未と雄也が千尋を認識できてんのという話ですが、私も訊きたいです、それ。お優しい悪魔さんが気を利かせたとかそんなのじゃないの。もう知らん知らん。



    ユキルート
    さて、千尋の話から分かる通り、ユキもまた悪魔と契約をした人間の一人でした。ユキの正体は広瀬夏未の姉であり、雄也の恋人。共通ルートで出た夏未と雄也のお互いの記憶にないツーショット写真はユキ、夏未、雄也の三人で撮ったものだったんですね。瑠璃ルートで瑠璃が雄也を諦めていたのも雄也の恋人であるユキがいたためです。契約発動後はユキに関する記憶が失われたため、なんとなく、という風になっていましたが。
    ユキが交わした契約の内容は本来は事故で死んでいた雄也を助けるために死への引き金となった自分が雄也に送った手紙をなかったことにすること。こうして雄也は怪我だけで済み、その代償としてユキは自身の存在を抹消されたのでした(抹消には300日ほど時間がかかるらしく、ユキの存在は周りの記憶から消えただけで、存在自体は残っている)。
    まあこんな代償払うなら事故そのもの無くせよと少し言いたくはなりますが、自分の手紙のせいで雄也が死んでしまったというユキの余裕の無さを表しているのでまあ良いかなと。それより300日も一文無しかつ誰もあてに出来ない状態でどうやってユキが暮らしていたのかが気になる。やっぱりお優しい悪魔さんのサポートか。個人的には援交希望。
    ユキが雄也の恋愛をサポートするに至った経緯は本来は陰から雄也を見守るはずだったものの、サッカーとユキを失った雄也が腑抜けになってしまっていたので、なら恋人を作らせて立ち直らせようという感じ。

    記憶はないながらも再びユキへ恋をした雄也は告白し、付き合うことになります。
    しばらく恋人として過ごした後にいよいよ時間切れというところでユキは自身の存在に対し疑問を持ち始めた雄也と夏未を呼び出し、今までの経緯を簡潔に纏めたボイスメッセージを二人に聴かせます。ユキは最期の時を迎えるべく、二人の前から姿を消すものの、真実を知った雄也たちはなんとかできないのかと奔走し、悪魔である担任の先生のもとにたどり着きます(この辺もだいぶご都合主義)。
    雄也は自身の存在を捧げる代わりにユキの契約を無効にする契約を悪魔と交わすのでした。しかし、この契約は内容からして前例のないめちゃくちゃなものなので、雄也の存在はユキにこのことを伝えた後に300日ルールが適用されず即座に消滅します。
    ラストにはイレギュラーが重なり、この世から存在は消えたものの、幽霊のように目に見えない存在となった雄也が写真を撮りに出かけたユキに対し、メールを送った所で終了。

    ははっ(嘲笑)。しょうもな。ちょっとイイ話系の三流ホラー映画みたいだぁ(直喩)。
    まあファンタジー要素は良いんですけど、無駄に時間かけた割にキャラの掘り下げも流れもまるで作れてないし、最後の雄也の行動もユキがどれだけの想いで行動したのかということを尊重してなくて独りよがりだなぁと。恋人ならそのへんも汲んでやれよとしか。コレに対してユキの反応が結構薄かったのはちょっと笑いましたが。
    こういうのやるなら最初から時限爆弾付きの恋愛として儚さ重視で描いたほうが良かったかなと思いますね。そっちの方がゴールデンアワーというタイトルにも合いそう。
    それにしても面倒な契約してコロコロ内容書き換えられた上にアフターサービスまでこなす悪魔さん大変だわ。

    それでもやはりスタッフロールでChange The World流されるととんでもない名作に見えてくるので夢乃ゆき×北澤代表の歌はすごいなと思いますね。ほんとボーカル曲に関しては素晴らしいの一言。
    Change The World、ラストタイム、車窓の歌ともに名曲なので是非聴いてほしいですね。特にChange The Worldの歌詞が最高……moreの曲の中で一番好きです。この曲を使ったOPムービーも必見。

    結局more作品の良いところと買い続けたくなる理由を挙げると南浜よりこさんの素晴らしい絵と夢乃ゆきさんの歌に尽きますね。あとはほんとシナリオをどうにかするだけなのですが……。


    ◆えっちなしーん

    エロに関しては少女マイノリティのライターから変更されたことでテキストの質がやや落ちましたが、南浜よりこさんの美麗な絵、陰影を意識し、男女の秘め事という雰囲気を良く出した塗り、後背位に拘り抜いた構図などビジュアル面のクオリティが非常に高かったです。
    moreは少女マイノリティでもそうでしたが、やっつけのエロではなく、男女の絡みとしてのエロを描いてくれるので良いですね。
    要望としてはここまでエロに拘っているならカットインや陰毛のオンオフなども選べると良いかなと思います。
    あとは通常シーンはいくらでも呼んで良いのですが、エロシーンで主人公の名前呼び過ぎなのがちょっと実用性低めるかなと。好みの問題ですが。

    以下はシーン数。
    ユキ、夏未、すず……4
    瑠璃、まりか……5
    リサ……1

    感想は以上です。
    まあ良いところも悪いところも相変わらずのいつものmoreかなという感じ。
    次回作ではいい加減シナリオをなんとかしてもらいたいところです。
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