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    BALDR HEART 感想

    作品名BALDR HEART
    メーカー戯画発売日2016年8月26日
    原画緋ノ丘シュウジシナリオ卑影ムラサキwith企画屋
    KOTOKO、柚子乃ムービー神月社、B.J
    対応OSWindows Vista/7/8/8.1/10お気に入り度8/10
    ディスクレス点数83
    プレイ時間約46時間


    バルドスカイから約七年の時を経てリリースされたバルドシリーズ完全新作(ゼロとか言うスカイユーザーを地獄に叩き落としたクソゲーは外伝+非バルドヘッド制作なので公式でも別扱い)、バルドハート。エロゲにおけるサイバーパンクモノ、もしくはアクションゲーと言えばまずこの名前が挙がる人気シリーズですね。
    前作がバルドスカイという前後編で発売かつ高いクオリティを誇った超大作だったので、それを超えられるかどうかということでも注目されていました。結論から言うと全体の出来ではスカイに及ばないながらもACTパート・ADVパート共に高い質を維持していてバルドシリーズの名に恥じない良作だと思います。
    以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)。


    ◆ルート構成

    攻略ヒロインは月詠、茉緒、ユーリ、凪の四名。スカイに引き続きルート順は完全固定でその並びは今紹介した順になります。
    たぶん、バルドシリーズで賛否が別れる点の一つがこの完全固定制ですよね。一般的なADVというとプレイヤーが選択肢による意思決定を繰り返した先にたどり着くものがありますが、スカイ・ハート共にバッド、ノーマル、グッドエンドの分岐こそあれど、その辺りの自由度は皆無ですからね。
    また、どちらを選んでもその後に影響せず、同じ結果になる選択肢も少量ながらあります。個人的に選択肢って所謂人生の分岐点、あらゆる可能性への分かれ道的なものであると思っているので、なるべくその後に影響するような重要度の高いものであって欲しいんですよ。
    勿論、コメディシーンへの繋ぎとするためのネタ選択肢などは大いに結構ですし、是非やって欲しいぐらいですが、本作の選択肢はルート分岐に関係する一つとエンド分岐に関係する一つ以外は本当に無意味なものしかないんですよね。これはちょっとどうなのかなと。これならないほうがマシと言わざるを得ないです。

    またデメリットというとやはり好きなヒロインを最初に攻略できなかったり、最初のルートに当てられたヒロインはシナリオ・ACTパート共にチュートリアル的な扱いで終わってしまうので、キャラクターではなく、ルートヒロインとしては他ヒロインと比べると扱いが悪くなってしまうなどの問題もあります。
    メリットとしては攻略順を決めるのが面倒な方を煩わせる心配がない、完全固定故に全シナリオを一本に繋げやすい、伏線を張りやすくて最後に回ってくるルートの出来が良いものになる可能性が高い、その出来が良く、ゲームの集大成となるであろうルートを必ず最後にやることができる、などでしょうか。
    実際、本作もスカイと同じく一つのルートを終わらせる度に謎が現れ、進める毎に解き明かされていく飽きにくく後半になればなるほど盛り上がるルート構成となっております。自由度を犠牲にして物語性を第一にしている感じでしょうか(正直あまり合った言い方ではないです。選択肢が無数に合っても物語性が高いものはありますし、ただ言い方が見つからなかったのでご勘弁を)。
    本作は幸いな事にそのルートの出来が良かったので、この構成が許される作品だったのかなと思います。この構成を採っただけあって、力のあるものに仕上がっていました。それは保証致します。

    また、分岐という点では本作はアクションゲームという側面も持っているわけで、ACTパートでの結果が後のエンド分岐に関わるというのはスカイに引き続き良かった点かなと。
    これは普通のADVには出来ないことですしね、惜しむらくは前作のような陵辱分岐がなかったことか。

    あと話は逸れますが、戯画というとランダムディスクチェックが有名ですが、本作は恐らく未搭載のようです。この記事を投稿した時点で43回起動しましたが、一度もチェックがでなかったので、安心して良いかと。
    キスアトも要求された覚えがないので、最近のゲームでは搭載しなくなったのでしょうか。ありがたいことです(風のウワサによると既に出ている方のバルドスカイ新装版も非搭載だとか)。


    ◆シナリオ

    バルドハートは過去作品との繋がりはないと公式で明言されてはいますが、一応シリーズ作品である+フォース、スカイのライターである卑影ムラサキ氏が続投されていることもあり、世界観はスカイの延長線上のものであると思っていただいて良いです。
    実際、フォース・スカイとの関連を匂わせるネタもありますが、分かる人はニヤリとし、未プレイの方はこの世界の歴史として流せる程度のものなので、理想的な扱いだったかなと。なので今作からのプレイでも全く問題ありません。
    また、本作はサイバーパンクモノということでシュミクラムを始めとして独自用語が非常に多いことが特徴として挙げられます。
    基本的には軽く入る説明と当てられている漢字を読めば意味は把握できると思いますし(例:シュミクラム=戦闘用電子体)、他媒体でこのジャンルに触れたことがある方なら特に抵抗はないと思いますが、使用頻度が高いので人によっては厨二系作品などでも見られるように拒絶反応が出るかもしれません。
    シリーズ未プレイで手を出そうと思っている方は一度体験版でテキストが合うかどうか確認してみるのがベターかなと。

    逆に本作をシリーズプレイヤーが見た時に心配したのはライトな絵柄と学園要素なのではないかと思いますが、その辺りを心配する必要はないかなと。開始時点でドンパチが起きていますし、ルートによってはメインキャラだろうが容赦なく死ぬ/死ぬより酷い目に合うので。
    基本的に今までのバルドと比べて軽いわけではないですし、学園要素も無意味なものではなく、シナリオに必要なものとして機能しています。
    絵もエロCGがちょっと安定しないですけど、良い感じですよ。

    さて、今回のざっくりしたストーリーは軍事行動中に負傷したことが原因でシュミクラムに移行した際に兵装を使うことが出来なくなってしまった主人公・瀧沢蒼が軍を除隊し、療養のため故郷の海神に帰ることに。
    そこで蒼を待っていたのは自分と同じく負傷兵かつ記憶喪失の少女との出会いと帰ってきたばかりの自分を名指しで指名した仕事の依頼。
    その内容は海神唯一の学園、甲華学園の学生たちと最近海神を騒がせているテロ集団・甲華学装隊との関係性を探る学園への潜入調査なのでした。

    タイトルロゴがDNAの二重螺旋を表していたり、ヒロインの大半が遺伝子改良を施された人間・デザイナーズチャイルド(以下DC)、またはクローンであることや下のことからも遺伝子が本作の重要な要素となっています。
    また最重要部分としてミーム(人から人へ受け継がれていく情報)の拡散によりAIがネットを改変、それに影響を受けて現実の姿まで変わっていく(この世界の人間は生まれた時から脳に仮想と接続するためのチップを埋め込まれていて、それは現実にいる間も常に仮想と接続されているため。現実の世界自体は変わらないが、人が観ている現実の世界が変わる)というものやシナリオ後半では死後の世界、輪廻転生、ラスボスのモチーフが蓮華と仏教的思想を下地にしているのだろうという部分も見受けられました。
    この辺りは「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」との引用が何回かされたのもあって意識した部分なのでしょうね。今までとは一味違う進化し続けていくAIの不気味さと怖さを含んだオカルトチックな内容で面白かったです。


    ただ、個人的に卑影ムラサキさんの強味って山場の作りとその盛り上げ方が巧いってことなんですけど、今回は凪ルートにそれらが集中してしまっていて、他三人のルートがイマイチ盛り上がりに欠けたよなと。
    特にそれぞれのルートのラスボス戦ですね。ヒロインがラスボスというそこそこ熱い展開になる月詠ルートは置いておいて茉緒とユーリがちょっと……スカイでいう「さようなら……先生!!」 的なのが欲しかったですね。
    と、ここまで書いて気付きましたが、ハートは悪役のキャラが弱いんですよねぇ。天本・カトウは感情の起伏がなさ過ぎてアレですし、ライバルポジのはずの直翔はジルベルト以下の小悪党ですし。というか彼はもうちょい上手く使えそうでしたよね。今回の世界観が企業が完全に国になり変わっているというものでそんな世界での社畜キャラなわけですから。
    やっぱり府嶽に付くルートは必要だったのでは。折角幾つかルートがあるのでずっと同じ勢力というのは味気ない。スカイには出来はともかくとして他勢力につくルートがあったので余計に。というかかつての仲間を裏切って敵対する展開ほんとすきなので入れて欲しい。

    あとは戦争が統合管理下に置ける企業間のビジネス+ガス抜き扱いになった。その影響か冷静なキャラが多いのも今回熱いシーンが少ない原因なんですかね。生活が現実から仮想メインとなった退廃的な雰囲気・進化し続けて行き詰った息苦しい文明(作中では黄金期にして黄昏期なんて言われていましたね)などでサイバーパンクという意味ではAI・仮想ともに発展期だったスカイよりもその色が濃くなったのでしょうけど、なんかこうキャラが冷めてしまったなと。
    あと今回シナリオの情報量が本当に多くて詰め込みまくっているせいでキャラ……というよりルートヒロインが若干そのための道具っぽくなってしまったのも原因の一つかなと。茉緒やユーリはキャラ立ちしてますけど、月詠と凪がちょっと。
    月詠なんかは諸々の事情もあって自分のルート外では割りと活き活きしていますし、某七ふしぎゲームのキャラを思わせる時代錯誤かわいいところや興奮すると暴走しちゃうところも出ていて私は結構好きなんですけど、凪が本当に地味だったなと。

    とは言うものの、凪ルートでは今回もきっちり盛り上げてくれましたね。個人的にイチオシなのが10章・死者の物語でのフレイアがすこしだけ報われるシーンと23章・阿迦奢で絶体絶命の状況の中、妖精が死んだ将軍たちを地獄の門から援軍として連れて来てくれるところ。特に前者はフレイア一番好き+激熱過ぎて気づいたら涙を流していました。
    自分がもうすぐ消えることを悟ったフレイアが決死の殿軍を務めると決めたところでかつての仲間・甲華学装隊のシュミクラムを纏った甲華学園の学生が「甲華学装隊復活よ」と言いながら援軍として登場。
    その名前は最悪のテロリストと呼ばれている部隊の名前だぞと言うフレイアに甲華学装隊はテロリストなどではなく、海神のために戦った偉大な先輩だと肯定する茉緒、その言葉に報われるかつての甲華学装隊メンバーだったフレイア、ならその部隊名を名乗る餞別として甲華学装隊が使っていた儀式を教えてやる→それは蒼が好んで使っていた鬨の声「我らに続け、勝利は我が手に!」 だったとかそこから実際にやることに~の流れがほんと最高でしたね。ここのBGMが頑なにバトルでは使わなかった勝利は我が手に!
     なのも卑怯ですし、BGMタイトルがまた狡い。
    ACTパート画面を使っての円陣→戦闘開始と同時に散開とかの動きも良かったですし、テキストは蒼の気持ち、バックではフレイアのボイスを流しているのも良かったですね、その後全員で鬨の声あげるところはもう……。
    後者もオープンコンバットの表示を入れた直後にイベント挿入(かかるBGMは主題歌)と演出が凝っていて良かったですね。個人的な好みを言うのなら10秒ぐらい戦わせた後に将軍たちが参戦
    したほうがより熱いかなとは思いましたが。


    最大の不満点としては主人公である蒼とメインヒロインたる凪のキャラの弱さですね。
    前作・スカイの主人公である甲は空の復讐という明確な目標があって行動していましたが、蒼は基本的にそういうものがない+意思決定の瞬間も大体その場の流れに流されるかみさきとの記憶がフラッシュバックしての決断と受動的なものでしたしね。なんというか蒼自身の意志というものがあまり見えてこなかったんですよ。
    難癖に近い気がするんですけど、思ったことをもっと言ってしまうと、本作の重要シーンである自分は神免航一郎ではなく、瀧沢蒼だと確信を得るシーン。確かに記憶を植え付けられた、造られた存在とはいえ、それまで自分には瀧沢蒼として生きた時間が既にある、故に自分は自分なのだと自己肯定できるようになったというのは理由としては十分なんですけど、本当にそれだけだったので蒼の主張みたいなものが感じられなかったんです。これは凪に関しても同じ。
    蒼に関してはフルボイスだったスカイからパートボイスに変更になったのもかなり痛いですね。エロでは喋らなくていいですけど、やっぱり主人公声あるなしで変わるところはありますからね。特に凪バッドエンドとかで流さなかったのはキレそうでした。
    声といえばバルドシリーズだけあって大体の方は良かったんですけど、茉緒の取り巻き二名が棒読みすぎやしませんか。特に博巳。ACTパートではそこまででもないんですけど、ADVパートではほんと酷かったなと。あとこの二人、キャラ弱すぎて何のために存在しているのかも謎ですし。花を渡してくれた生徒のほうがまだ印象に残っているレベル。

    大きな不満点その2としてはスカイのレインノーマルや菜ノ葉ノーマルみたいな美しいビターエンドが少なかったなぁと。
    個人的に凪バッドの臨死エンドはかなりお気に入りでイイ線行ってますし、下で挙げる点を除けば転生エンドもまあ好きな方なんですけど、やっぱり全体的に印象に残こるほろ苦いものがなかったなと。月詠茉緒ユーリはもうちょい頑張って。
    特に茉緒のバッドエンドは持っていき方が無理やり過ぎて「は?」 という感じでしたし。いや、あのCGは興奮しますし、声優さんの迫真の演技は良かったですけど。

    いやーでもやっぱり臨死エンドは凄く良かったですね。
    亡霊のミームが拡散し、世に溢れたみさき・カトウの亡霊と戦い続け、ついに力尽きて自決の覚悟を決めた蒼が自分の人生は屍を築き上げただけの孤独なものだったと振り返ったところに現れる凪。
    凪に触れられたことでみさきによって奪われた失った凪に関する記憶を取り戻し、独り言を言いながら放棄された海神の町を歩いていた、そしてそれ以前の各地を転戦している荒れた自分の傍にはいつも独り言に対して言葉を返す凪がいたことも思い出す。
    この蒼の寂しい独り言の一つ一つに暖かい言葉を返す凪の姿が本当に本当に切なさに溢れていて胸が締め付けられましたね。最高。だからこそ、最後の蒼と凪のセリフ「もう絶対に忘れない、永遠に」
    に蒼のボイスも入れて欲しかったんですよねぇ。ここ入れてくれてたら大泣きしてた自信ありますよ。はー勿体無い。
    あ、あとボイスと言えばぷにボイスですよ、ぷにボイス。フェイなんかよりこっちにちゃんとボイスを入れてほしかったです。


    あと個人的に気になった点がいくつか。主に凪に関して。
    正直彼女に関する設定は後半に詰め込みすぎで、それもアレなんですけど、それは置いといて言いたいのが凪エンドのロリ凪についてなんですけど、あれって今回ずっと本編で出ていたミームによって生まれた幽霊凪と同一人物と言えるのかなあと。
    今回のシナリオって神免夫妻の記憶を植え付けられた蒼と凪がそれぞれ神免夫妻と=によって結ばれないように、持っている記憶の人物=今の自分にはならないという旨のシナリオでしたし。
    で、極めつけは絢夜歌であれはアカーシャから出てきた本人(ある程度記憶の欠落はありますが)が妖精たちがバイオアセンブラで作ったDCにぶちこんだ存在でしたが、あれも結局絢夜歌ではなく月詠という結論になりましたし、妖精が「死者が生者の営みに干渉するのはご法度」という発言もしています。
    そう考えると幽霊凪が自分は亡霊に等しい幻の存在としてアカーシャに留まる選択をした時点というかミームによって生まれてしまった時点で詰みだったのかなと。
    幼い頃、凪の兄によって作られたリンクを通して蒼とロリ凪は出会い、最終的には恐らくは妖精たちが脳と神経系を治したことによって肉体凍結を解除し、再会することが出来ましたが、学園生として多くの時間を共に過ごした幽霊凪の方はやはり死んでしまったことになるのではないかと思ってしまうんですよね。


    で、ここまで考えると更に転生エンドの方の凪は何物なのかしらんという問題にぶち当たりました。
    あれは見る限り学園時代から蒼と過ごした記憶を保持しているから幽霊凪と同一人物? 船でのやり取りを見ると現実のオブジェクトにも干渉出来ているので今までの幽霊ではなく現実での実体もある……で、転生凪が「だから、私も旅に出たの。その人に、思い出して欲しい一心で、はるばる遠くから、大変な思いをして帰ってきて」というセリフがあるので考えられるのは妖精よろしくアカーシャから這い出た幽霊凪がハッピーエンドの方と同じ要領で妖精たちがロリ凪の身体を治療、その中に入ったって感じなんですかね?
    身体がロリではなく学園時代のものに戻っているのはスカイの千夏ハッピーエンドを見る限り培養槽かなにかにぶち込んで成長促進したものってところ? か、バイオアセンブラで新たにクローン(凪のレシピはあるんでしたっけ?)を作ってその中に入った?
    まあこの辺はともかく、私が転生エンドに対して言いたいのはロリ凪の中に幽霊凪が入ったのか、クローンの中に幽霊凪が入ったのか、どちらにしてもそれは元の幽霊凪と言えるのかというところ。
    幽霊凪はミームによって生まれた以上、凪は凪でもロリ凪自身ではない完全な別個体だと思うんですよね。それがロリ凪の中に入るとなると一つの身体に二つの魂・人格が入るわけで、両方共変質するかどちらかが完全に支配するかの二択。で、こうやって身体に入った時点で蒼と凪が抗った航一郎のそれと同じことをしているんじゃないかなぁと。
    これはクローンだったとしても同じ。それは殻である蒼が記憶を植え付けられる以前に「蒼としての」人格があったから。つまりはあるものの為に造られた容れ物・クローンと言っても魂が入ってない訳ではなく、造られた・生まれた時点でその身体に宿る魂・人格があるってことなんですよね。
    この辺に関してはバルドハートに限らず転生を扱ったモノ全てに対して思うことなんですけど、やっぱり転生を受け入れる身体には転生する魂より前に元々その身体にいた人物が踏みにじられているのではないかなぁと思ってしまうんですよ。
    ここが気になるのであんまり好きじゃないんです。

    まあロリ凪の方はロリ凪と幽霊凪のリンクが長い間あったのでスカイに置ける空・クゥの関係みたいな感じに捉えれば良いのかもしれませんが、そもそも私は空ルートは激熱で大好きなんですけど、最後の融合展開嫌いなんですよ。
    それは空とクゥはあくまで別個体であるし、私が好きなのはクゥではなく、水無月空だったから。だからその二人を合体させますというのは大変気に入らなかった。
    で、まあリンクがあると言ってもそれは蒼と航一郎もそうだし、凪と岬もそうなのでやはり転生エンドは航一郎と同じことをしてしまったのではないかなぁと。
    この辺どうなんでしょうか、私は頭がかなりよろしくないので別の方の意見を訊きたい所。


    あとはやはり本作のラスボス・みさきがあまりにも、あまりにも不憫だったよなと。
    産まれる前に母親諸共殺されて、産まれたかったという純粋な想いをリンカネーターに拾われたせいで岬の記憶を植え付けられ復活。自分は岬の生まれ変わりなのだと、蒼と愛しあうために生まれてきたのだと、それだけを胸に蒼の傍にいるわけですよ。時には身を盾にして蒼を脅威から護るわけですよ(ここで盾になった時の正確な記憶を蒼が思い出したことがみさきにとっての致命傷なんですかね、この後の展開的には)。
    なのに岬の生まれ変わりであるのは間違いだという現実を突きつけられ、本物の岬にはあなたは偽物だからあるべき場所に一緒に帰りましょう(死にましょう)と言われ、最愛の人である蒼には後から出てきた姉を選ばれ楽にしてやると撃破された上にさようならを告げられるってもう……涙なしには見ていられませんよこれ。どうしてこうなった。「それって私に死ねってことじゃない!」 とか「(蒼を好きだという)この気持ちだけは失くしたくない」とかの台詞もキツい。
    いや、この辺のすれ違いは正直、かなり好きなんですけど、何が不満かって蒼がみさきに対してドライ過ぎると思うんですよね。いや、蒼にとっての最愛の人は凪なので別の女は選べないし、そのために切り捨てないといけないのはわかるんですけど、それでも自分をずっと支えてきてくれた幼なじみに対してもっと何か言うことや思うことはなかったのかと。恐ろしいぐらいに割り切ってるんですよね、彼。
    この辺でもうちょい葛藤を見せてくれていたらみさき戦直前のモノローグ、「俺は幼い日々の思い出に別れを告げ、みさきを見据えた」って辺りもより熱くなったと思うんですけどねぇ。
    あと熱くなったと言えば無垢と虚無はもうちょい開始位置調整して欲しかったですね。一番の盛り上がり部分に入る頃には既に死んでるかどちらかが虫の息なので。
    それか第二形態とか用意してそれに入ったら勝利は我が手に! アレンジ部分まで曲を飛ばすとかでも良かったかも。なにぶん07:21秒とクッソ長い大作BGMなので調整と言っても限度があるでしょうしね。


    ◆演出

    サイバーパンクモノということで本作はSF的な雰囲気をだすためにADVパートで何かのデータを受け取ったり、ハッキングを仕掛ける時にはプログレスバーやなんかかんやの情報を載せたウィンドウ、通話をする時にはフェイスウィンドウを出すetc……と細かい部分で雰囲気を出す演出が光っています。
    ただ、演出という点で言うならスカイの頃からそこまで進化はしていないんですよね。あれから七年経って戯画では様々な作品がリリースされてきました。
    バルドシリーズと同じようなAR的な技術が発達した世界を舞台にしたハーヴェストオーバーレイという作品では背景のAR技術を用いたオブジェクトの一部をアニメーションさせたりしていてより近未来感を出していました。また、シロガネスピリッツという能力バトルを主とした作品ではエフェクトと激しい立ち絵の動きを併用して戦闘を盛り上げていました。
    何が言いたいかというと、スタッフが違うとはいえそういった作品を会社で出していたのに、戯画の看板シリーズたるバルドでこれらの経験が活かされていないのが勿体無いよなと。それらの要素を存分に発揮できる世界観とシナリオですし、スカイから七年も経っているので余計に。

    とはいってもスカイの頃から全く進化していないというわけではなく、今作からオーガストのように立ち絵のカットインを用いてADV画面における戦闘パートでより躍動感を出そうとしていたり、バルドの演出の強味であるACTパートの画面を用いてのシュミクラムによる殺陣の動きの洗練化、ADVパートでパートとの連携などがされていて進歩していないわけではないのですが、まだまだ良く出来たよなぁと。

    辛口気味でしたが、上記のものやBGMを流すタイミング、シナリオのほうで書いたものなどを合わせて相変わらず巧いですし、ゲームを大いに盛り上げてくれるので質自体は高いです。

    またOP/EDはムービーは神月社氏の本気が出ていてクッソカッコいいので必見。強いて言うのなら凪ルートEDムービーは他ルートとは変えてほしかったくらい。
    歌も両方共本編を良く表している曲なので文句なし。クリア後+本編をある程度進めた後に聴くと「なるほどね」ってなる歌詞になってるのほんと良いですよね。


    ◆ACTパート

    AACTパートがどういうものについてかはここで文字を垂れ流すより、公式にバルドの遊び方という動画を踏まえた説明があるのでそちらか体験版で実際に触るのがベストかなと。
    使うキー・ボタンは5つ+移動用の十字キー+アナログパッドのみで少なく、ボタン連打でも簡単にコンボが繋がってそこそこカッコいい動きが出来る+難易度調整も随時可能と初心者に優しい作りだと……思います。が、最近周りでスカイやった三人くらいが手こずってる感じだったので、体験版はやはり触っておいたほうが良いですね。

    スカイからの変更点として目立つのはカメラがかなり引き気味になって戦場全体を見渡しやすくなったこと、反面引き気味になったせいで迫力という点では劣化した(FC発動時などは今まで通り寄り気味になります)ところが一つですね。
    もう一つはFEIアクションという一種類だけ装備できる特殊兵装が追加されたこと。これはジャンプやバックステップなどの特殊行動を始め、今まであったブンティダガーなどを使うことが出来て、後者はともかく前者のおかげでアクションの幅は拡がったかなと。
    ただ、公式コラムだかにも書いてありましたけど、FEIアクションは三つぐらい装備できるようにしてよかったと思いますけどね。操作が忙しくなるのでお手軽さという点ではダメになるかもしれませんけど、今までとはかなり違う行動を採れるようにもなりますし。

    バランス面ではタックルなどの強力な近接兵装(まあ今作でも強いんですけど)が弱体化、大罰みたいに敵がワラワラ寄ってくるステージが多いので射撃が今までよりは輝いている……気がしましたね。
    ACTパートに関しては今まで通り楽しめると思いますし、スカイとはまた違った手触りなので熱中できるかと思います。
    それにしても茉緒ルートの学園生の亡霊戦とどっかのルートのチャウグナル戦はキツかったですね。集団で豆鉄砲撃たれるとガンガン体力減るので、ハードにしていたとはいえこれはどうなのかなという感じでしたが。
    特に亡霊の方は茉緒ルート中盤ということもあってプラグインも不十分ですし、割りとおかしい難易度だった気がします。

    また本作の兵装少女システムはシナリオにも絡んでいて、変なところで彼女らが伏線張ってたりもするので良い感じに組み込めていたかなと。
    ただ、こういう扱いにするならシナリオでもうちょい絡ませるべきだったとも思いますけどね。どの少女を出現させるかは任意なので中々難しいのでしょうけど。
    あと月華掌とかそんな感じの名前の花火を打ち込むFCがリストラされたのが残念でした。これだけはどうしても伝えたかった。


    ◆えっちなしーん

    月詠……2
    茉緒……3(本番2。残り一つは愛撫のみ終了。実質2)
    ユーリ……3(本番2。残り一つは愛撫のみで終了。実質2)
    凪……2(本番1。残り一つは愛撫のみで終了。実質1)
    カンナ……1(ありえん短い)
    みさき……1

    バルドハートで一番酷い部分はここですね。シーン数の少なさもさることながら邪魔が入って愛撫のみで終了があまりにも多い。凪とかメイン中のメインなのに実質1ですよ、1。おまけに尺もサイトウケンジレベルでクソ短いとやる気あるのかと怒鳴りたくなるレベルです。
    卑影ムラサキさん自体は他社のLEWDNESSやイントルーダーを見る限りでは普通に濃い目のエロは書ける人ですし、うんこ先生(アレな名前なので一応伏せています)の愛称通りフェチ系も書ける、みさきのエロシーンでの卑語連打とかは普通にえっちだったので、こんな淡白なので済ませる方とは思えないんですけどね……スカイと比べてもやはり短いですし、妄想極秘ファイルもないし、陵辱ぶっ込めるシチュたくさんあったのにないし……戯画側の仕業なのでしょうか。だとするなら無能としか言いようが無い。陵辱に関してはスカイのdive2がレイプレイ騒動の煽りをモロに受けたのでそれを引きずっているのかもしれませんが、残念ですよね。
    あとはまあ仮想空間とかが発達した世界のなのにそれを活かしたシチュないんですよね……スカイの時は分身プレイとかNPCといろいろするとかあったんですけど、この世界ならではというのがない。色々出来ると思うんですけどねぇ。ムラサキ先生の本気を開放させてあげてくださいお願いします。
    あとカンナのエロCGがなんかおかしい。


    感想は以上です。
    不満点は多いんですけど、やはり面白いのは確かですし、質の高い絵・シナリオ・ゲームパート・演出・歌・BGM・ボイス諸々が詰まった遊べるエロゲーは中々ないので検討する価値はあるかと思います。
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