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    少女マイノリティ -慰めの愛- 感想

    作品名少女マイノリティ -慰めの愛-
    メーカーpure more発売日2016年7月29日
    原画南浜よりこ、北風つかさシナリオ小西翼、日下部浪漫(Hシーン)
    夢乃ゆき、新時あさ美ムービーKIZAWA Studio
    対応OSWindows Vista/7/8.1/10お気に入り度8/10
    ディスクレス点数76
    プレイ時間約7時間


    前作の少女アクティビティに続いてセックスを主題に置いたpure moreの恋愛モノになります。
    エロゲは18禁という仕様上、こういった濡れ場から人と人との関係性を掘り下げられるタイプの作品を作るのに適した媒体だと思うのですが、中々ないのでこういったものが出るだけで貴重でしたね。
    しかし、出来が良いかというとそうでもなく、イマイチ何が描きたいのか分からない作品でした。
    以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)。


    ◆ルート構成

    攻略ヒロインは凪咲、結、綾子の三名に。また、凪咲ルートは他二名をクリアしないと開放されない仕様となっております。
    ただ、この仕様は正直失敗ではないかと。というのも結・綾子ルートのEDは両名とそれぞれ結ばれることになった後に主人公が凪咲自殺のニュースを見て発狂して終わりという味気ない上にやっつけなバッドエンドになっているからなんですよね。
    この二つを見た後でやることになる凪咲ルートをハッピーにしてその幸せを際だたせるということなのでしょうが、これは本作のコンセプトであり、サブタイトルにも入っている「慰めの愛」という点から見てどうなのかなと思うわけです。
    バッドエンドなのは構わないですし、むしろ嬉しいのですが、発狂して即終了ではなく、本作が傷を負ったもの同士による慰めの愛、傷を負ったものに慰めを与える愛を描くものならば、凪咲以外の両名は凪咲を失くしてからどうするかが本題なのではないかなぁと思うんですよね。
    その辺りが一切なかったのでやっつけに見えてしまうわけです。ハッピーは勿論そうですけど、バッドエンドやビターエンドに拘りがある方って特にそこに至るまでの過程を重視すると思うんですけど、結果だけどーんと用意してその辺りがお座なりなので不満が出てしまう。

    で、全体の構成として一人のヒロインに全力を注ぎ、他ヒロインルートはそこに至るまでのパーツとするのは好みの違いはあれど、特段珍しいことではないのですが、何故本作では駄目なのかというと凪咲ルートの出来が良いものではないからですね。突出した良い点があれば悪い点をある程度打ち消すことは可能ですが、それが出来ていないので悪い点が目立っているんです。
    こういう構成を採ったのに凪咲ルートの求心力がまるでない。それどころか大して力入ってないんですよね。これで良い作品と言うのは無理があります。


    ◆シナリオ

    シナリオは病気療養することになった父親の特殊な仕事の代理を務めることになった主人公が、引越し先の土地を散歩していると自殺をしようとしている少女と出会います。当然止めに入ると、「死なせてくれないなら私を傷物にして」と肉体関係を迫られ、流されるままにセックスをします。
    事が終わるともう二度と合うことはないと言い残し、消える少女。少しの日が経ち、父親の仕事を引き継ぐ日がやってきます。
    その仕事とは大手アパレルメーカーでクリイエイティブディレクターを務めている先日契りを交わした少女、片倉凪咲の秘書になることなのでした。

    序盤の流れをざっくり言うとこんな感じです。ガバガバですけど、実際こうだからしょうがない。方向性としては何らかの理由で自暴自棄気味になっている少女の傍にいることになった主人公が仕事とセックスを通じてその傷の内側に触れていく……という感じですかね。
    体験版時点で明かされますし、隠すことに意味が無いので書きますが、主人公も傷をもっていてそれは相手方の転校を理由に相思相愛だった彼女・結と別れているということ。正直、傷というほどのものじゃないですね。おまけに結とはすぐに再会してまた関係を戻そうという話にもなりますし。
    たぶん、問題点としてはアクティビティと同じで少女がそこらの男に簡単に身体を許す理由をさっさと出さないので凪咲が軽く見えてしまう+主人公が凪咲を犯す方向に無理やり持っていくために突然暴走するようにされている、でしょうか。
    前者はこういったタイプの話なら身体を許す理由はシナリオの核には成り得ません。その事情を踏まえた上で起動画面で毎度「SEXに愛はいりますか?」 と表示されるようにSEXに愛は必要なのか否か、またそれが分からぬままそのような行為に溺れていく退廃的な様が期待されるものだと思うんですけど、本作では凪咲が身体を許す理由は!? という風にその謎をメインにしてしまっているのでイマイチだなぁと。
    後は凪咲と主人公が惹かれ合っていく様子もふわふわしていましたし。真実の愛は探せましたか……?

    後者はやはりシナリオに動かされている感が強く出ていてキツかったですね。突然主人公がキレ始めて凪咲を襲うので何故そんな行動に走るのか、ちょっと無理がありましたね。

    各ルートに目を向けるとコンセプトというか個人的にこの作品に期待していたことをやってくれていたのは結ルートでしょうか。
    体験版ラストでヨリを戻すと結と約束した後に主人公が暴走して凪咲とセックスしちゃっているところを結に見られてしまう展開になるんですけど、そこから結が壊れることで話が動き始めます。
    目の前でまた恋人としてやり直そうと言った主人公が浮気セックスしているのを見て悩んだ末に考えることをやめちゃうんですよね、この子。何故凪咲とセックスをしたのか、何故自分が泣いているのにセックスを続けたのか、ヨリを戻すと言ったのは嘘なのか、その辺りの色々なことから目をつむってそれでも好きな主人公を振り向かせようと身体を使って取り返す行動に出ます。
    昨今めっきり見なくなったヤンデレというと想像しやすいでしょうか。主人公に向かって捨てないでと大泣きし、自分を凪咲の代わりとして使っても傍にいてくれるならそれで良いと進んで道具として自分を差し出しに行く痛々しさが個人的にかなりヒットしましたね。軽い修羅場もありますが、凪咲がバトルをする気がないのでこの泥棒猫! 的なのを期待されている方はしないほうが賢明かなと。

    ともかく、やるべきことを投げ出してひたすらセックスに溺れるような話が好きな方にはお勧めしたいルートです。なによりエロい。とてもエロい。

    綾子は……正直いてもいなくても変わらないんですよね、この人。明らかに数合わせ要員でCG・エロも一人だけ少ないと。唯一の年上キャラなのでそこに喰いつく人がいるかもしれませんが、はっきり言ってそれに期待すると痛い目を見ます。
    ルート自体、恋愛経験ゼロの年上処女が年下相手にお姉さん風吹かしている間に惹かれていって……を早送りで展開させていくようなテキトウさですし。こう書くと行き遅れ処女系が好きな人にはワンチャンありそうな感じがしますが、ルートが短く、展開も早送りでテキトウなので恐らく満足の行くものではありません。年上は経験豊富なお姉さんこそ正義な方は絶対合わないのでやはりお勧めしません。

    凪咲はキャラは可愛いんですけど、この作品の事実上のメインである割にはシナリオのやる気がなかったなと。
    身体を重ねて、仕事や学業を共にするうちに惹かれ合っていくけれども、陰りが見え始めたアパレルメーカーの政略結婚の道具として使われることが決まっており引き裂かれる運命の二人云々のこれまた古いタイプの許嫁問題をメインに据えたテンプレシナリオ。
    解決方法も主人公が凪咲と近い上司の力を借りて全てを投げ出して逃亡キメて終わりとやっつけ。どういう方法で逃げたとかそんなことをしたのにED後に凪咲の名前を全力で押し出して新しいブランドを設立しましたとかその辺を全部端折ったのは重要ではないですし、まあいいんですけど、凪咲と好き合う仲だった前婚約者が死んでから自殺未遂を繰り返していてようやく辞めさせたという経緯があるのにまたそれを促しかねないことをする凪咲の父親はどうなっているんですかね……?
    凪咲のような目立つ人間に自殺されたら自分のメーカーは勿論のこと、相手のメーカーのスキャンダルにもなるわけですし。色々と設定に無理がありすぎたなぁと。
    このルートをメインに据えるならば凪咲は前婚約者から主人公へ、主人公は結から凪咲へと愛が移る過程をより詳しく掘り下げるべきルートなんですけど、まあなかったですね。少女マイノリティは真実の愛云々言っている割にその辺りの描写がないので結局何を描きたかった作品だったのかなぁと思ってしまうわけです。


    ◆グラフィック・ムービー

    では良い点はというとやはりCGの良さが一番に来るでしょう。
    南浜よりこさんの可愛らしい絵柄に陰影を意識した塗りが出す、作品に合った淫靡な雰囲気。主人公主観視点にして敢えてヒロインの顔を見せない構図(大体はカットインで顔を表示してくれますが)がある。この辺りがとても良かったですね。
    いや、この二点は本当に良い。本作はプレイ自体はいたって平凡なのですが、それを実用的なものに押し上げているのはこれが大きいと思います。この塗りでこういう構図を出されるととても艶めかしい感じが出ていて興奮しますよ……特にバックで交わる時のCGが最高でした。
    また、本作はエロシーンのテキストは別ライターなのですが、それも良かったですね。正直本編のライターよりこちらのライターの功績のほうが大きいと思います。
    ただ、絵で言うとサブ原画で綾子担当の方がイマイチだったなと。頑張ってメイン原画に寄せてはいると思うのですが、表情や体勢にぎこちない感じが。あと下着デザインのやる気の無さが凄い(まあこれに関しては南浜さんの方も恋泉天音さんなどの化物じみた方に比べるとかなり落ちますが)。
    また、グラフィックのほうで物足りない点を挙げると背景ですね。キャラの絵に力が入っている分、背景のショボさ(叩くほどではないのですが、見劣りします)に目が行ってしまいますので、moreが少女○○シリーズのような方向性の作品を今後も出していくなら背景の改善に期待したいですね。ここが改善されるとより淫靡さが増してCGの出来が上がると思うので。
    最後に上下でスクロールする仕様のCGのを塗れ場で使うのはどうかなと。全体を見て使いたいのに一部分だけアップされるような感じに近いので、単純に実用性が下がると思いました。

    もう一つ本作の素晴らしいところを挙げるならば、ボーカル曲とそれを使ったOPムービーですね。
    ボーカル曲の方はmore系列ブランドではお馴染みの夢乃ゆきさん、最近加入した新時あさ美さんと隙のない布陣で代表の作詞作曲も今まで通り良い出来でした。やはり企画+全体を統括している方が作った曲だとより作品に合ったものが出てくるのでこの辺りがmoreの強味ですよね。
    ただ、moreはボーカル曲が強すぎるせいかどうにもBGMが耳に残らないのが玉に瑕。
    そしてムービー。なんと言っても薔薇の花と棘の使い方が巧かったですね。01:15辺りのものなんですけど、薔薇の棘が伸びていく→HシーンのCGを映した後にテキストと引っ込んでいく棘を映す→これを繰り返した後に薔薇の花が開いていくカット。この辺りの徐々に凪咲の心を解きほぐしていくことを思わせる一連の流れが本当に美しい上に巧い。
    後は01:00辺りの引っ張ると同時に先が崩れていく赤い糸→セピア色に染まった元カノである結の写真が落ちる直球なシーンや01:08辺りのペアリングを嵌めた指を見て涙を流す凪咲→二つのうち一つが砕けたペアリングなんかも綺麗で良かったですね。砕けた指輪は元々の婚約者の死を表していてそのために悲しみの涙を流しているのか、それとも政略結婚の方を主人公がご破産にして凪咲を苦しめる呪縛を解いたことを表す喜びの涙なのか、色々想像できて良かったです。
    綺麗といえば曲名表示のところも見逃せません。


    ◆えっちなしーん

    シーン数は以下の通り。

    凪咲……10(本番9)
    結……7
    綾子……4

    シーン数は十分です。絵の良い点などはもう書いたので残りの特筆すべき点は尺の長さでしょう。二回戦どころか三回戦は当たり前でCGも複数投入してくれているので言うことはないです。
    卑語もバンバン使ってくれるのでそういうのが好きな方は間違いなく“使える”かと。こういうタイプの作品の雰囲気が好きでシコれるゲームを探しているという方は間違いなく満足してくれるかと思います。それぐらいエロいですよ。個人的には今年でた中で一番使えました。オススメ。
    後は回想再生中に回想画面に戻れるようにしたり、ピストン音などのSE追加、カットインオンオフ設定なんかも付けられると良いですね。この辺は次回以降に期待でしょうか。

    感想は以上です。

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