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    あけいろ怪奇譚 感想

    作品名あけいろ怪奇譚
    メーカーシルキーズプラス発売日2016年3月25日
    原画すめらぎ琥珀シナリオかずきふみ
    mio、ムーサン・ベリームービー不明
    対応OSWindows XP/Vista/7/8/8.1/10お気に入り度8/10
    ディスクレス点数81
    プレイ時間約27時間


    シルキーズプラスの処女作、なないろリンカネーションと世界観を共にする本作。
    前作が多くの不満点がありながらも面白かったので期待していた一作でした……けど、なんでしょうかね。ななリンで駄目だと思った部分の多くを潰してきていて、作品としての完成度は遥かに上がっているんです。お話もつまらなくはないですし、楽しい掛け合いもそのまま。
    いい作品ではあるし、好きな作品でもあるんですけど、どこか物足りなくて、自分の中であまり残るものがないまま終わってしまったなぁと。
    以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)。


    ◆ルート構成+前作・なないろリンカネーションとの繋がりについて

    攻略ヒロインは佳奈、ベルベット、葉子、るり・るか、美里の六名。また佳奈とベルベットの二人にはBADエンドがあり、全ルートを終えるとtrueへの分岐が開放されます。

    前作・ななリンではヒロインが複数いながら一人のヒロイン以外はルートとも呼べないような短さかつ、分岐の仕方も微妙なものだったというのが大きな不満点の一つでした。
    今作では佳奈とベルベットがシナリオ量的に優遇されているものの、残りの葉子、るり・るか、美里にもしっかりとしたルートが用意されていて尚且つ、選択肢に依る分岐でシナリオ内容がガラっと変わるという前作での共通ルートから申し訳程度に枝分かれしたルート内容に不満を抱いたユーザーが望んでいたものへと改良されたので、その辺りは安心していただいて良いと思います。

    推奨ルートは佳奈を最後に回すこと以外は特に無いですかね。trueがロックされているので、好きなように進めて良いと思いますが、佳奈は幽霊騒動について最も深く切り込むルートかつ、このルートにtrueへの分岐があるので、スムーズな流れでラストに移るなら最後に回しておいたほうが良いかなと。

    で、今作はフローチャートが導入されて、見てないシーンが幾つあるのか、どのルートに向かっているのかなどをお手軽に把握できるようになったのは選択肢が多目で尚且つ、その選択によってその後の進みが結構変わる本作をプレイする上でありがたいんですけど、フローチャート画面にサムネしかないのでこれはどういった内容のシーンなのか、どのような選択肢を経て辿り着いたシーンなのかがわかり難いんですよね。
    ないよりはマシなんですけど、あまりにも大雑把過ぎてもう少し頑張れなかったのかと嘆息してしまいます。全体進行度の%表示なんかも欲しいところ。
    またルート構成の話からは外れますがもう一つ。某ルートでヒロインの髪型を決められるシーンがあるのですが、それによるCG差分がシーンジャンプの機能を使うと回収されないため、一度見たシナリオをスキップで垂れ流さなければならないなど、かなり面倒でした(このシーンに限らず、ジャンプ機能を使うと飛ばしたシーンに含まれるCGは一切回収されません)。どうにもかゆいところに手が届きませんね。

    そしてこういった前作と世界観を共有+続投キャラがいるゲームだと、どうしてもその扱いが気になるところですが、それに関しては何も心配要らないかなと。あくまで頼れる助っ人ポジションに徹し、あけいろ勢を喰うわけでもなく、かと言って空気という程でもない。
    ななリン既プレイ勢は前作キャラのその後を少し見ることが出来るという理想的な扱いだったのではと思います。個人的には真くんの出番が思ったよりも少なくて、ほんの少しの物足りなさを感じるぐらいでしたね。
    一つ注意を付け足しておくなら、ななリンの一部ネタバレが含まれることでしょうか。あけいろ→ななリンの順でやろうと思っている方は気をつけたほうが良いかもしれません。


    ◆シナリオ

    あらすじをざっくりと言うなら学校で四人の生徒が自殺し、その原因が学園に伝わる七不思議の一つ・旧校舎の幽霊によって殺されたものだと噂が流れ始め、実際に主人公もその呪いのターゲットとなってしまいます。その呪いを解くため、死を回避するために仲間とともに七不思議・旧校舎の幽霊の謎を追い始める……というもの。

    旧校舎の幽霊や序盤で出てくる朱子のビジュアル、ななリンよりもずっと暗めの雰囲気からしてホラーモノと思われそうですが、実際のところホラー要素は極めて薄く、どちらかと言うと学校の怪談シリーズのような怪奇現象を主な舞台道具に据えてそれに立ち向かう少年少女を描いたジュブナイルモノといった印象(例に出しましたが、ホラー要素は学校の怪談よりも更に薄いです)。
    3Dムービーを使った振り返り演出など、ホラーっぽいところもあるにはあるのですが、逆に言うとそれぐらいしかないので、ホラーを期待すると痛い目を見ることになりますね。怖いのが苦手で手に取りづらいと思っていた方はその辺りの心配は不要かと思います(少しだけややグロいCGは出てきますが)。

    基本的には上記の呪いを解くためにシリアスな雰囲気は出しつつも、修司や佳奈といった気が置けない仲間。葉子・ベルベット・るりるかなどの強い力を持ったサポート役が脇を固めることによって暗くなすぎずに現実・異世界を舞台に冒険する内容となっております。
    ななリンで好評だったゆるくほっこりする掛け合いも健在。かずきふみさんはやっぱりキャラの立たせ方が巧いですね。メインは勿論、ちょい役のキャラも良い感じに味を出していて進めていてダレるということがほぼありませんでした。
    反面、仲間に有能が揃っていて作中最強とも言っていい存在の葉子がサポートにいるため、盤石過ぎて最後には彼女がなんとかしてくれるだろ+茶番感が拭いきれず、緊張感に欠けるというデメリットもあります。あけいろに限りませんけど、最強ポジションのキャラを主人公or味方として出すとこの辺が難しいですね。
    加えて七不思議探索組の主要メンバーである主人公の社くんと佳奈が無能寄りなのも有能組におんぶに抱っこ感が少し出ていてアレ。二人共力が弱いなりに頑張りますのでそこまで不快感はないのですが、気になる人は気になるかもしれません。とはいっても見せ場はあるのでそこまで心配しなくても良いかなと思います。
    あとは社くんは自分ではどうにもならないと思ったら無理をせずに素直に自分より格上の相手に助力をお願いできるところが個人的には好印象でした。
    やっぱりあけいろみたいな作品をやっていると、シナリオとは別にキャラクターをキチンと立たせて、楽しい掛け合いを作れる能力って凄く重要だと感じますね。日常パートが楽しいというのはとても大きなことです。ただ、七不思議探索パートは修司に情報収集ぶん投げ、残りで検証とワンパターンだったのがイマイチ。

    もう一つ、かずきふみさんの強いところというと、ななリンもそうだったんですけど、ストレートに人の暖かさを押し出した優しいシーンを描くのが巧いなと。私がちょろいのもあるのでしょうけど、毎度この手のシーンが出てくると視界が滲みますね。
    前作で言うなら体験版の琴莉が犬を見つけた後のシーンやメリーゴーランドのアレとか、今回だとるりるかルートのラストとかですかね(他にもありますが)。
    今回特にお気に入りだったのが、るりるかルートラストの知らぬ間に神に祭り上げられ、人間として満足に幸せを享受することなく人間を辞めることになった双子に社が、神様を辞めることは双子自身の死を意味するのでできないけど、人間として生きていたら感じられたような幸せを自分と暮らすことで感じさせることが出来れば良い、土地神ではなく土地の住人になれるようにと同居を申し出て、そこから実際に社の子や孫が双子の神様と共に歩んでいくというところなんですけど、ルート自体は微妙でしたが、ほんとラストシーンが良かったですね。
    社はお社とふざけた感じで言っていたのがここで活きてきますし、歳をとり今際の際を迎えながらもしっかりと双子と交わした約束を果たした社に対し、同じくコメディシーンで言っていた、「社は私たちの神様です」という言葉をかけた時の破壊力が凄まじかったです。このやり取りも良いんですけど、BGMの緋色の空オルゴールアレンジ、涙を浮かべた双子のCGとその後のメッセージウィンドウを消してCG差分だけを見せる演出が強い。

    この辺のことを書くために再プレイしていたのですが、危うく涙を流しそうになりました。

    あけいろの強味はやはりフローチャート周りの穴などがあるものの、全体としては丁寧と言える作りでしょうね。
    キャラを立たせた楽しい掛け合い、美麗なCG(特にtrueラストのそれや葉子が本気出した際のものの塗りと原画のクオリティが凄まじい)、程よい多さで無駄が少なく、話を飛ばさずに読んでいれば行きたいところに大体行ける選択肢、それによってキチンと変わるその後のシーン、ヒロインを掘り下げる個別ルート、真相を解き明かすtrueルート、絡みとしてキチンと描いたエロシーンetc……終わった後に見ると正統派のADVとして本当に纏まっていたなと。
    また丁寧といえば主題歌・緋色の空が上手いこと作品を現した内容で良かったなあと。
    どのルートでもサビの歌詞にあるように誰かが誰かに対して生きていて欲しいと願った末にたどり着いたものでしたしね。望や朱子などの幽霊組に対しても本来の自分を保っていて欲しいという意味での生きていて欲しいと取れる気がしますし、二番の歌詞、戻って欲しいなんかも直球ですけど、良いですよね。やっぱり歌も作品を形作るパーツの一つなので、クリア後なんかに聴くとより映える曲になっていると嬉しいです。
    不満を言うならこの曲を使ったOPムービーがあんまりにもあんまりな出来だったことですかね。ななリンもそうなんですけど、ムービーのレベルが低くて勿体無い。今回は構成は良いなと思ったので、制作者の技術が追いついてない感じがより伝わってきて残念でした。

    ただ、あけいろが作品として優等生なのは間違いないんですけど、この作品はコレだと言えるような核になる部分が個人的には見つかりませんでした。私があけいろを素直に推せないのはここなんですよね。
    色々と高水準で纏まっているんですけど、どのルートも大体は予想の範疇で終わり、パンチが足りないとでも言えば良いんでしょうか。受け手の予想を超えなければならない、超えると良いとは言えないのでこれもまたあまり合ってない言い方だと思うんですけどね……。
    どうにもななリンの某ルートほどの力もなければ、強制的に最後にやることになるtrueにお話を締める力が足りなかった。なんと言えば良いのか全くわからないのですが、ただただ物足りなかったですね。


    ◆各ルート雑感

    ◆ベルベット
    パッケージ絵・公式サイトトップ絵センターを飾り、キャラ紹介順もトップバッターと扱いが大きそう……まあ実際優遇組ではあったもののルート自体は真相からも遠くイマイチ。
    望まないまま不死の身体にされた故の死にたがり。加えて元は奴隷のような身だったので何を目的に生きれば良いのかわからない、生の楽しみ方がわからない故の生への執着のなさ。そんな吸血鬼の背景を知った主人公が彼女を死なせたくないとして頑張るお話(葉子も加担)。
    王道ですね。trueがある関係上か、あけいろの個別ルートは大体七不思議には本腰にならず、該当ヒロインの掘り下げがメインとなります。ベルベットの場合はいかに生きる方向へ意識を変えさせるか……ですが、死にたがりの理由も、生きる方向への転換もふわふわしていてイマイチ掴みにくかったなルートだなあと。BADルートの自己犠牲展開も王道。こういうの好きなんですけど、社との積み重ねが弱くてイマイチ。
    グッドルート最後らへんの自立のための御役目も必要なものとはいえ微妙な蛇足感が漂いました。個人的には葉子との別れをもうちょいしっかりと見たかったですね。あのさらりとした感じが、らしい。良いというのも分かるんですけどね。
    それにしてもベルベットの裸体美しすぎでしょう。巨乳派の私でも結構惹かれました。でもあの猫パーカーはないわ。


    ◆佳奈
    私、霊能力者です(ドヤァ)と有能そうに見えて無能だった、七不思議探索組の華。
    trueへの分岐もちルートだけあって七不思議がメイン+加賀見家メンバーも登場する本作のメインルート担当。
    理想の女子に見えてコメディパートとシリアスパートでも割りとというか、かなり俗物的なところを見せてくれるのが魅力的でした。しかし、社に惚れた理由が若干弱い上に選択肢一つで変わるのも微妙。恋人になってからの絡みは一番ほのぼのとしていて好きなんですけど、結ばれるまでがちょいと弱いですね。望への言い負かし方ももう少しなにか欲しいところ。望の狂気じみた演技はGOOD。
    ラストの学校の守り人、生ける七不思議を目指して学校を守り、望と交わした約束を守る展開、社と佳奈で望との約束についての考え方の方向性が違った辺りは良かったです。あとエロシーンの内容が一番良かったかなと。
    また、BADの演出は分かってても怖いなと思わせる王道演出で良い感じでした。


    ◆葉子
    最強キャラ故に何かと動かない理由を枷として付けられた本作のボス。ルートとしては一番好きな展開でした。
    あまりに舐めプし過ぎて親友である美里を死なせてしまったのはうーんこのという感じ。展開は好きですけどね、死んでもなお朱子から社を守り、葉子に頭を下げて社のことを美里がお願いするシーンは台詞なしなのが逆にグッと来ました。その後に鬼になって感情から大切なモノが欠けた社に対し、葉子が美里に化けて道を示すシーンもまた良い。こういうのほんとすき。
    美里、伊予、故郷、親友と思い返すと別れの連続なルートでしたね。見どころとしては目論見が外れてショックを受けたり、伊予への感情の吐露、思念の集合体のようになった社へ感情を剥き出しにしたりする葉子の人間らしさが見れるところでしょうか。最強キャラにも弱い部分はあるというのは王道かつ魅力的な見せ方ですよね。
    あとは上でも挙げた美里と葉子のやり取り、社が街と親友と別れを交わす所が見どころですかね。特にラストの修司との男の別れは来るものがありました。やっぱ別れって悲しいんですけど、何物にも勝る美しさがあるんですよねぇ。
    欲を言うなら豹変した社を際だたせるためにも、他キャラのようにウィンドウに顔を表示させる仕様にして良かったのではないかと。


    ◆るりるか
    一番言いたいことは先程書いたので省略。ルートとしてはつまらないんですけど、ラストシーンが本当に良かった。本作で一番涙腺に来ました。

    ◆美里
    正直、唯一褒めるところがないルート。終始イチャイチャしているだけで退屈な上に特に語りたいや目立つ所がない。個人的には美里の魅力は葉子ルートが一番出ていたかなぁと。
    あと非常に心苦しいんですけど、美里役の声優さんだけキャラを作った感が強くてイマイチでした。あの喋り方は流石にやり過ぎでは……作り物感が強すぎて冷めてしまいました。どこか別ののルートで真面目な口調で話す所があったんですけど、それぐらいに留めておいてくれればよかったんですけどね。


    ◆true
    七不思議の決着+旧校舎の幽霊・朱子の背景と旧校舎の幽霊と同化した望の救済ルートにして無能気味だった主人公・社くんが大活躍するルート。
    なんですけど、そもそも望が佳奈ルート方面でしか出ないのが不味い気が。私は佳奈を最後に回していたのでぽっと出感が凄かったです。
    なんというか七不思議関連を投げ出さずにしっかり描いたのはいいんですけど、まあそうなるよねという落とし所で特に言いたいことがないという。強いていうなら朱子と望を壊したクズ組が一切改心しなかったのが良かったですかね。悪役とかもそうなんですけど、それまで好き放題やった癖に改心するって嫌いなので。しかし、その報いを受けなかったのが朱子・望サイドの受けたものを知ったこちらとしてはモヤモヤしましたね。
    あとはこのルートじゃなくても良いんですけど、修司にも活躍の場をあげても良かったのではないかなぁと。露骨に女子と深い関わりを持たせないようにしている感じがして不自然でしたしね。葉子ルートの社との別れを見ていると、社と男二人で困難な状況に立ち向かうシーンが欲しいんですよねぇ。完全な好みの話ですけども。


    ◆えっちなしーん

    ななリンや根雪でも思ったんですけど、回想モードで通常シーンも見れるようにするのはいい事だと思うのですが、エロシーンもそこに纏めてぶち込んでいるのが、非常に見つけ難くて不満ですね。
    プラスになる前のシルキーズ作品・女系家族3もそうだったので、このブランドのお約束か何かなのでしょうか。個人的にはエロだけ纏めた回想の実装を一刻も早く希望します。
    不満といえば最大のそれは相変わらずの下着の省かれ率の高さ。許せぬ。下着を見せろ。

    ベルベット……4
    佳奈……4(本番3)
    葉子……3
    るりるか……3(本番2)
    美里……3(本番2)
    朱子……1
    望……1

    シーン数はやや少ないながらも、男女の絡みとしてキチンと描こうとしている姿勢を感じられ、尚且つ中々のエロさでななリンよりもパワーアップした印象です。個人的には結構満足しています。
    何よりサブキャラにもちゃんとエロを用意して、朱子はレイプシーンを暗転などで済まさずにキチンと描いたのがとてもポイント高いですね……こういうレイプシーンって設定出すくせにやたらと暗転だけで済ませたがるメーカーが多いのでありがたかったです。
    まあ欲を言うなら奥東先輩がめちゃくちゃ好みだったので彼女のシーンが欲しかったですね。妄想でもいいんで今後何かのおまけで出たりしませんかね? お仕置き系ので出しますとかなったらお金は惜しまないレベルです。あと社会人になった由美ちゃんとイチャイチャしたいです。

    感想は以上です。
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