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    幻のディストピア 感想

    作品名幻のディストピア
    メーカーてぃ~ぐる発売日2015年7月24日
    原画彩つづらシナリオてんしー、伊後山勇気(サブ)、タンク(サブ)、揉め隣人(サブ)
    葉月ムービーKIZAWA Studio
    対応OSWindows Vista/7/8/8.1お気に入り度2/10
    ディスクレス点数53
    プレイ時間約11時間


    終わった後にはこのライターは結局どういう話を作りたかったのか、という疑問とクソみたいなゲームへの静かな怒りしか残りませんでした。
    ゲーム自体は中身もクソもないスッカスカの虚無ゲー。
    先月のスクイの小夜曲もそんな感じでしたが、アレは丸新の絵があってそこそこ抜けたからまだ良いものの、ディストピアは絵が最低クラスという前提がある以上、シナリオでなんとかしてもらうしかなかった。そこも最低だった以上、どうしようもない。間違いなくクソゲー。

    正直、メーカーへのお布施だし、体験版やる限りは自分基準で70くらいのゲームだろうなと思っていたのにそれを遥かに下回ってくるとは夢にも思わなんだ。
    以下は詳細な感想。ネタバレ全開ですけど、あってないようなものなので大丈夫じゃないかしらん。誰も買わないだろうし。


    体験版の出来や公式HP等の情報見るを限りでは私がこのゲームに期待していたのは以下の三つ。

    ・1~5までカーストよろしく身分によって分かれた区が存在する世界で地位を上げる野望を抱く主人公の成り上がりモノ。
    ・同ブランドの首領・衣笠彰梧譲りのテンポの良いテキスト+氏の過去作・暁の護衛を思い起こさせるモノが所々にあった。
    ・葉子、楓など共通時点では好感度が低いヒロインが多かったので、それらを横暴極まりない俺様主人公がどう攻め落とすのか。

    特に衣笠氏の信者と常日頃から声高に叫んでいる私としては二つ目の理由は大きかったです。結果から言うとこれら全てに裏切られた訳ですが。いや、ある意味で二つ目のものは期待通りだったのか。


    ◆楓ルート

    さて、成り上がりモノとは言うものの、その方法は自分より身分が上の女の子(主人公は一区=ユートピアのトップに君臨する資産家・来栖川家の令嬢である葉子に狙いを絞っています)を籠絡し、婚姻関係を結ぶことで自身の地位を上げ、より上の区に移ることというヘボさ。
    格差社会・権力への反抗などを期待すると死にます。いや、他の何に期待しても無駄です。

    楓編は何を話しかけても冷たくあしらい、授業もサボりまくる常にぼっちな不良少女に、過去にいじめで他人と接することをやめていた自分の姿を見たことで、お節介を掛けまくって攻め落とすお話。本筋には全く関わらない数合わせ要員。
    ぼっちにはざっくり分けると、本当に一人でいることが好き/何かしらの理由で素直にはなれないが、実のところは人と関わりたい構ってちゃんの二つのタイプがあると思っていますが、今回は後者でした。

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    そういった相手に対して強引に関わり続け、それは同情などの相手のためではなく、純粋にお近づきになりたいという自分のための行動であると宣言し、相手のプライドなどを守りつつ、しょうがないの感情を引き出して親しい関係を築いていく。
    そんな様子は割りと良く描けていたのではないかと思います。ディストピアではヒロインと主人公の心境の変化が急すぎて付いて行けない所が多々ありましたが、楓はその辺りが比較的マシでしたしね。

    楓がぼっちで居る理由は優秀な姉が居て、両親の期待の眼差しから家でも外でもそれと常に比べられているのではないか、という疑心暗鬼に囚われ、人と関わるのが嫌になったという王道。
    主人公が関わったことで、楓は疑心暗鬼を振り切り、優秀な姉の妹としではなく、自分として生きていく決意をして終わり。衣笠譲りのぶつ切りエンドに惚れ惚れしますわ。
    ぶっちゃけ、楓は救ったものの、一区の楓に対して三区の主人公が関係を持ったことで生まれたお家の問題は何も解決していない、というか逃げたまま終わったので、この先の二人は大丈夫だろうかという心配しかありませんが、これでもディストピアではマシなルートというのがなんとも。


    ◆瑠璃子ルート

    劣化ツキと発売前から話題のCV大花どんの毒舌メイド。曽我家の二人しか居ない使用人の内の一人ということで、主人公の過去を掘り下げるルートかと言えば特にそんなことはありませんでした。
    というよりこのライター、ユートピアとかディストピアもそうですけど、背景設定軽く作っただけで、絶対深い所まで考えてないよ……。

    瑠璃子編では体験版で大方が予想した通り、物語冒頭の虐殺劇が主人公と早乙女の仕業であることが明かされます。
    元々屋敷に居た者たちを皆殺しにした後、どういう方法かは知りませんが、巧いことそれを隠蔽して屋敷を乗っ取ったのですな。その殺した使用人の中に居たのが瑠璃子の母親でした。身寄りを失い、家も追い出された瑠璃子は曽我家に仕えることになります。

    そこから何年も経ち、早乙女が建設予定の特区の調査のために初めて屋敷を空けた夜、瑠璃子が主人公に母親を消したのは誰なのかと刃物を手に真実を訊き出し、そのまま殺そうとしますが、修羅場慣れしていた主人公には通用せず(なお、主人公が強そうなところを見せるのは作中でここだけの模様)、失敗。
    本来ならこの時点で瑠璃子は始末されますが、手放したくない主人公は瑠璃子を説得、主人公よりも数段厳しい早乙女も瑠璃子が裏切る心配はなくなったと見るとそのまま恋人エンド。

    瑠璃子が主人公を容認するに至った理由としてはかなり苦しいですけど、

    ・約十年という母よりも長い間、同じ時間を過ごしてきたという事実。
    ・屋敷の秘密を知ったせいで始末された主人公の元カノ、神楽(CV卯衣)が早乙女に殺されるところを主人公の取り計らいで薬による記憶消去で留められていた(とはいっても意味記憶もエピソード記憶も丸ごと消えているので、ある意味死ぬより酷い廃人と化していますが)という真実を教えた。

    ですかね。恨みを持続させるには関係を深めすぎましたし、流れた時間の分だけ、幼いころに見た朧気な母は消えていく。曽我家が消えると既に実家が失くなっている瑠璃子も行く宛がなくなりますしね。ついでに瑠璃子では主人公と早乙女を殺すのは難しい。
    やってることが外道過ぎてそれをカバーできる材料もないので、どう考えても無理がありますが、こんなんでも後の二人に比べるとかなりマシというのが怖い。


    ◆朱莉ルート

    本作随一の理解不能ルート。二人の心境の変化が急すぎてジェットコースター状態。振り落とされました。

    葉子へ取り入る足掛かりとして最も近い友人である朱莉に近づこうとする主人公。その過程で来栖川家に次ぐ資産家である鈴森家令嬢の朱莉が三区出身の養子であることを知る。
    葉子たちから隠れつつ更に関係を進めついに恋人になるも、朱莉が葉子に主人公と恋仲になったことを報告してしまう。
    主人公と朱莉が関わることを良しとしない葉子は主人公が曽我亮太ではない誰かである可能性、主人公の転校と同時期に行方不明となった神楽の存在、両親の不審死等の主人公周辺の怪しい出来事を突きつけ、脅す。
    葉子が望むのは二つ。主人公の自主的な退学と朱莉との関係を断つこと。

    ここまで追い詰められて、自分は朱莉を道具としてではなく、一人の女として好きになっていたのだとか都合良くのたまい始める主人公の情けなさ。自分の身辺を探られることは当然分かっているだろうし、それに人一倍気を付けて然るべき境遇の持ち主なのに何の対策もせずに取り乱すアホさ。
    そもそも葉子に取り入るために朱莉に近づいたのに恋人になっちゃった上に朱莉とのイチャイチャをわざと見せつけまくって葉子のヘイトを溜めたのは何故なのでしょうか。自滅やん。朱莉が主人公のことを好きになった理由も全然わからない。気付いたら主人公に依存してて告白即合体だもんなあ……一万歩譲ってこのお花畑展開にするならもうちょい二人の心情を描くべきだと思うんですけどねぇ。
    また、どのルートでもそうなんですけど、俺様には秘策がある!!! みたいな雰囲気を漂わせて自信満々に行動するくせに基本的に無策でいざ追い詰められると他人に助て貰う展開ばかりなのが無様過ぎる。
    別に性格悪くて喧嘩も弱い、プライド捨てる行動があってもそれは問題では無いんですけど、あまりにも口だけなのがなあ。最後の最後に自分の策でひっくり返すとかではなく、暴走してどこかに激突したら全部他人任せの考えなしなのが救えない。

    この後は葉子から引導を渡される前に朱莉に自分から本物の曽我亮太を殺したことを打ち明け、朱莉もそれを即受け入れて、葉子との和解交渉は私も出向くと都合の良い人形振りを見せつけます。なんなんだこれ。なんでノータイムで受け入れられるんだお前。そもそも曽我のどこが好きなんだ。愛だ何だの言うなら教えてくれ。こちとらこじらせキモータだから物語のない恋愛なんて理解できんのだわ。

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    葉子ちゃんほんま可哀想。

    この力は、愛情など抱いていなかったオレを変えてしまったのだ(迫真)。
    しかも、この後に朱莉は本物の曽我亮太と幼いころに遊んだことがある+あまりにもその時の性格と見た目から離れていたので、今の主人公が曽我亮太と別人であることは薄々気付いていたことが判明します。朱莉としては初めてキスをした際に見た主人公の瞳に“深い孤独”をみたそうです。だから私が助けて支えなくちゃと思ったそうですはい。

    まあ、主人公の何もかもを受け入れてくれる救いの女神キャラですわな。こういうの嫌いじゃないけど、やるにしては背景が薄すぎるよね。主人公の高速テノヒラクルーはともかく、もっと朱莉の心が近づくまでを描くべきだと思います。唐突過ぎてワケが分からんし、どこまでも都合の良い道具でしかない。


    ◆葉子ルート

    実質的なトゥルールート。だから丁寧だとか納得がいくものが用意されているかというとそんなこともなく、片手間で作ったような展開の連続で笑えます。

    何とかして葉子に近づきたい主人公。しかし、葉子自身が主人公を嫌っている+付き人気取りのクラスメイトが居るため中々手を出せません。
    そこで主人公は自分以外にもう一人葉子に付き纏っている坂崎という来栖川家に次ぐ資産家の不良を利用することにします。
    悩みの種である不良の脅威を取り除き恩を売り、殊勝な態度に切り替えることでそいつとは違い邪な考えではなく、純粋にお近づきになりたいアピール+葉子を助けるために坂崎と揉めたことで坂崎から脅迫を受けるようになるので、それを使い葉子の良心を擽るためのようです。

    作戦は葉子の今までのお前はなんだったのだというチョロさや付き人が体調不良で離脱している等の追い風も有り、成功。葉子とは恋仲になり、坂崎も神楽と同じ記憶消去の薬を飲ませることで廃人化させて取り除きました。
    しかし、自分が休んでいる間にそんな状況になっていた付き人くんとしては面白くありませんし、普段から校則で恋愛は禁止されている・特にユートピアのトップに立っている来栖川に過度に近づくなと口を酸っぱくしていた担任さん(ちなみに元探偵で今もツテがある)サイドとしても好ましくない。主人公には元々きな臭い部分が多々あったので、周りは主人公に対して探りを入れ始めます。

    結果として両方にかなりの部分まで真相が暴かれ、付き人くんが調べた資料を葉子に渡したことで葉子にもバレてしまいます。主人公はそのことを追求しに来た葉子に自分が五区に設けられた壁の向こう、ユートピアの外にあるディストピアの住人だったことを明かします。
    朱莉ルートと同じパターンですね。そして当然の如くそれらを受け入れるヒロイン。ユートピアの連中の頭はどうなっているのだ。受け入れるにしてももう少し何かないのか。

    付き人くんは葉子の父親にも報告していたので当然呼び出される主人公。いつものように横暴な態度で望むも歯牙にも掛けられず追い返されます。
    翌日、掌をクルクルさせ下手に出て話していると葉子の父親がディストピア出身者であることが判明。二十年ほど前に壁を乗り越え、どうやったのか一区のトップにまで登りつめていました。そしてそれからの来栖川父は人を雇い、定期的にディストピア出身者が壁を乗り越えてユートピアに侵入できるように工作し、それに乗じて三区に侵入したのが主人公と早乙女だったのです。

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    作中で少しだけ出ていた来栖川父が起こした特区開発計画は自分たちのことをロクに考えず好き放題していたユートピアの連中と一緒の所になんて居られない! そうだ、今度は奴等を下に突き落として俺達ディストピア民の奴隷にしてやるんだ! という意趣返しの計画。
    ディストピア民は皆家族精神の来栖川パパンは主人公がディストピア出身と知るや否や、主人公のことを嗅ぎ回っていた連中を権力で黙らせ、葉子との交際も認め、主人公と早乙女はかねてからの望み通り一区に移り住むことが出来ましたとさ、めでたしめでたし。

    ……あ ほ く さ。

    ほんとしょーもな。こんな鼻くそほじりながら書いたようなお話読んだの久しぶりですわ。
    そもそもディストピアの描写がペラッペラというより皆無な上に一区~五区という設定を作った割には格差の描写も大してないというのが大問題。この手の反逆モノで一番重要な主人公が社会に対して抱いている憎悪とかそれを壊そうという気概がまるで足りていないというか“ない”んですよね。高層の豪遊ぶりとか低層の現状話とか主人公のディストピア時代で受けてきた苦しみなどをもっと掘り下げるべきでしょ。特にこの手の設定ならモブを有効に使ったほうが絶対に良いのに立ち絵有りのキャラしか物語で描写されないしな……ディストピアについても主人公が一言、苦しかった(小並感)と発言するだけだし、本当に幻状態。なんなの、ライターは結局この作品でなにがしたかったの???????????
    ……せめてぽっと出のスーパーキャラにデウスエクスマキナさせるのだけはやめて欲しかったなあ。
    それにライターが違うといえばそれまでですが、衣笠のゲームであるような無茶ぶり選択肢、ADVのシステムを使ったイタズラ染みた演出も殆どなかったですしね、残念。

    ◆えっちなしーん

    シーンは衣笠よりは少し長い程度で使い物になりません。以上。もう疲れた。

    葉子・楓……3
    朱莉・瑠璃子……4
    神楽……1
    朱莉と葉子の妄想3P……1(日常シーンで挟まれたギャグ的なものなので滅茶苦茶短い)


    感想は以上です。
    このライターの作品は余程のことがない限り、二度と買わないでしょう。エロゲテキストとしてのテンポの良さは認めますが、根本的に話を練る力が足りていないので、ちょっとやそっとで変わりそうもないなという印象。
    衣笠は締めがアレなだけで、話を展開させていく力は十分でしたからね。このライターはまず、話を展開させることが出来ていない。

    歌はOP・ED共に良かったです。サントラもしっかりfullver収録。テキストのテンポも良く、クッソ短い紙ストーリーなので無駄に長いクソゲーと違い本格的に苦しむ前に終わらせることも出来ました。好きな声優も結構起用されていましたしね。なので点数はこれでもかなり甘めに付けた方です。

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