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    蒼の彼方のフォーリズム 感想

    作品名蒼の彼方のフォーリズム
    メーカーsprite発売日2014年11月28日
    原画悠木いつか/鈴森/丹羽ことり(SD絵)シナリオ木緒なち/渡辺僚一/陸奥竜介
    川田まみ/KOTOKO/澤田なつ/紺野由梨/世良みと/三代眞子ムービー神月社
    対応OSWindowsVista/7/8/8.1お気に入り度8/10
    ディスクレス可(但し、定期的にディスク要求される)点数80
    プレイ時間約28時間


    なんというか、面白いなどよりも先ず楽しいと感じるエロゲでした。以下感想。
    (一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています。また、画像はあくまでサンプルですので大幅に縮小しています。画像の著作権はsprite様にあるため、無断転載はお止めください)



    ◆空を駆け、蒼の彼方を目指すその姿の眩しさ

    本作の魅力は何かと考えると、やはりフライングサーカス(以下FC)というスポーツの魅力とそれを楽しむキャラの姿が真っ先に出てきますね。
    まあ、詳しいルールは公式サイトでわざわざFC専用ページが用意されているので、そちらか体験版で触れていただくとして、これが面白いのですな。
    最初は空中に浮かんだ四角形のフィールドで飛び回るだけってつまらなくないか? というのが疑問にあったのですが、意外にも試合展開に幅が広くて飽きないんですよね。純粋にスピードでフィールドを駆け回って相手をぶち抜くもよし、スピード勝負を捨て、ショートカットを用いて相手を待ち受けることで戦闘機の戦いさながらのドッグファイトに持ち込むもよしと状況や選手の得意とするスタイルによって戦い方は様々。もうフィールドを縦横無尽に二人の選手が駆けまわるので観ていて楽しいのですよ。
    また、「サーカス」と名が付いているように観客を楽しませるかのような派手で見栄えの良い技も多くあるので、視覚的にも楽しめます。
    視覚的というと、コントレイルというFCで空を駆けまわった際の軌跡に色がつく演出(ひこうき雲的なもの、というよりひこうき雲そのものを指す)があるのですが、これは良い設定作ったなと思いましたね。

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    基本的にエロゲは紙芝居なので、そんなに派手に動き回るスポーツを描写しても臨場感や迫力など出せないのでは? と思いそうになりますが、このコントレイルのお陰でそれを潰せてます。(ちなみに右の画像のようなものは使い回しがなく、一試合一試合の内容に合わせて作られてます。スタッフ頑張りましたな)
    画像でも分かるようにこれと地の文のお陰で選手がどういう風に動いたのか、今はどういう状況なのかというのが非常にわかりやすく尚且つ、直感的に把握できるんですよね。しかも、画像だと最初から全部軌跡が表示されてるので分かりませんが、段階を踏んで動いた様子が描画されていくのでスピード感も表現出来てるんですよ。これに加えて熱いBGMとカットインCG、立ち絵を切り取ったものなどが挟まれるので言うことなし……いや、手に汗握りますよ、本当に。

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    この試合用CGも鑑賞モードにこそ登録されませんけど、豊富に用意されてるんですよねえ。
    後は主人公がセコンドという試合を一歩離れた場所から見て、その都度選手に指示を飛ばす役に付いているので、そのあたりのモノローグ、選手とのやり取りもまた見ものですし、退屈させない要素になっていると思います。

    あ、あとFCというと明日香ちゃんが初めて触れるということもあって、下の画像のようにSD絵や図を用いてルールや用語解説もしてくれる親切設計。その上、このSD絵は日常パートでも結構使われるんですけど、よく動くのが良いんですよね。かわいい。

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    ◆空に恋をする

    で、そのFCと空を飛ぶことを可能にしたアンチグラビトンシューズ(以下グラシュ)に初めて触れ、その楽しさに取り憑かれた明日香ちゃんを始めとする面々がFCにのめり込んでいく様が非常に良いんですよね。
    みさきとか莉佳、昌也は程度の差はあれど経験者なのでアレですけど、明日香ちゃんはFCどころかグラシュもない地域から転校してきた全くの未経験者。そんなプレイヤーと同じ状態の子が昌也と出会ってグラシュに触れ、「これ楽しいです!」 と目を輝かせるところは思わずニヤけますし、こちらも楽しくなります。

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    そして、かつてFCの選手で天才とさえ謳われるも引退した昌也の過去を知る先生の差金により、明日香の飛行指導員にされた(グラシュは物が物なのである程度訓練を受けないと使えない)昌也が空に魅了されていく明日香ちゃんにFCを教えて欲しいという願い、また外部からの思わぬ干渉によるFC部のコーチ就任、そこからヒロイン、サブキャラの面々がこのスポーツに抑えきれないワクワクを全身に漲らせて部活に打ち込んでいく姿が非常に青春していて良いんですよねえ。やはり、プレイヤー側にも楽しいと感じさせるのはキャラが何よりもそれを楽しんでいるというのが大きいと思います。
    また、舞台が海に囲まれた地域、そしてFCという空中で行うスポーツ、これらによりビジュアル的にも、そして夏真っ盛りの季節的にも実に画面映えするんです。凄まじい爽やかさですよこれ。背景もCGも綺麗なのでこの辺りは余すことなく堪能できます。

    しかし、逆に言うとシナリオの全てがFCと空を飛ぶことに繋がっている(誇張ではなく)のでこの二つに楽しさを見出だせない場合はまるで乗れない上に苦痛だと思います。なので、興味がある方は体験版なりなんなりで先ずはその辺りに触れておきべきかと。


    ◆六話の凄さ

    そして、シナリオですが、共通六話、個別二話の全八話構成になっております。(ちなみに一話終わる毎にテレビアニメの予告のようなムービーが流れます。映像流しながらバックでなんや語ってる音声入れて、最後にサブタイトルでっかく表示して締め文句的なのを言うアレ。正直クッソ寒いし、何より発売前でテレビアニメ化決定()の報を見た後だとただただ、白々しい。サカモトアキラ及びSpriteはほんと駄目だな)
    共通ルートは前述のように空を飛ぶ楽しさ、FCの熱さを知った面々が部活で練習、試合などを織り交ぜて、初の公式大会となる夏のFC大会出場を目指すことが基本展開になります……が、問題は共通ラストを飾る六話。

    六話は大会編で今まで積み上げてきた練習の成果を披露する回であり、これまで回数は少なめに抑えていた試合の連続なのでプレイヤーを更にこのFCというスポーツへと引きこむ役目を果たしてくれるのですが、大きくお話を転換する、起承転結の転の部分でもある話なんです。これは六話が共通ラストで次からはヒロイン個別ルートに入る、というのも勿論なのですが、特筆すべきはその試合内容。
    ざっくり言うならば、今まで一話から五話までかなりの尺を設けて描写してきたFCの楽しさや概念をぶち壊す内容なのですな。
    今までのFCはスピードを活かしてブイにどんどんタッチして点を重ねる、あるいはショートカットを用いてドッグファイトを仕掛け点を奪う、あるいはそれを使い分ける、など大技が絡んだりすることはあれど、基本的にこの範疇に収まっていて、見ている側としてもこれがFCなのだと思っていた所にこの時点では強いなとどの評判もまるでない無名キャラが全く別の戦法を持ち出してくるのです。
    その新しい戦い方を前に当代最強と謳われた真藤ですら為す術なく敗北。この事態の異常さに気づいた少数の選手たちが絶望するんですね、今までの自分たちの戦い方だと、これには勝てない。なら今までの自分たちが築き上げてきたものはなんだったのかと。六話の見どころの一つがまずここ。
    その他にも、今までFC部の名実を伴ったエースで自分でもそう思っていたフシのあるみさきが、真藤と良い試合した後、明日香ちゃんに対して今までとはまるで違う気迫を持って戦う真藤、傍目から見ても異常なほどに成長してこの試合中に更に覚醒した明日香ちゃんを見て心に黒いものが湧いて挫折。
    そして、上述の真藤VS無名キャラの戦いを見て一同が絶句し、怒りすら覚えている所に「凄い」、と目を輝かせる明日香ちゃん。この辺のドロドロっぷりと明日香ちゃんの異質ぶりを表したシーンは本当に秀逸でしたね。
    今までのお話はプレイヤーも明日香ちゃんたちと共にFCへとのめり込ませていたのでこの一連の流れが衝撃なんですよ。ここ書いた人ほんとお見事。
    いや、六話は本当にフォーリズムの白眉だと思います。進めていてドキドキしつつ、ある種の苦しさと緊張で息が詰まりそうになりましたもの。良い意味で今までのものをぶち壊してくれました。この辺りは面白すぎて悔しいぐらいの出来です。


    ◆各ルート雑感

    後は個別ルートですが、それぞれ良かったとは思うのですが、共通の出来に比べると物足りないものが多いかなと思いました。
    個人的に一番良い出来だったみさきルートは六話で自分の何かを打ち壊され、絶望しFCを捨てたみさきと、その境遇に自分の姿を見た主人公が共に再生していく展開が非常に熱くて良かったです。部活分断で少しもやっとしましたが、それ以外は特に文句無いですね。
    また、乾が持ち込んだ新たな戦法とみさきVS乾の試合、明日香VSみさきの試合を受けて個々の選手たちが独自の戦法を編み出して、群雄割拠のような時代に突入していく、という締めも綺麗。真藤が自分たちが今、転換期に立っていて、これからのFCを作っていく。そんな時代に生まれることが出来て光栄だ。みたいなこと言ってましたけどこれも良かったですね。
    昌也のトラウマ描写が一番出てくるのもこのルートですし、みさきVS明日香の試合も熱い。何より明日香ちゃんは敵の方が映えますわ。

    次に良かったのが真白ルートか。こちらは実力者のみさきや才能の塊で努力に妥協がない明日香といった面々に囲まれ、自分の才能の無さを嘆きつつも昌也のサポートを経てFCに向き合っていく展開。
    真白は他の人と違い、みさき、あるいは昌也、誰かと一緒に居たい、認めて欲しい、恩人に報いたいなどと自分のことやFCが好きどうこうよりも誰かのために頑張るという姿が良かったですね。その頑張りが実を結んで最後のみさき戦で大技であるエアキックターン決めるところがグッときました。ただ、真白ルートはもうちょいみさきとの関係とか諸々掘り下げても良いんじゃないのかなあとも思いましたね。良い話なだけに勿体無い。

    で、真白ルートと言えば真白VSみさき前のFCを辞めたみさきにFC部を復帰をかけて真白と戦って欲しいと頼むために、昌也がみさきに戦いを挑むところがクッソ熱いんですよね。、少し本気で飛ぶだけでトラウマを刺激されて吐いてしまうぐらいの状態なのにですよ。
    勝負と言っても本格的なFCじゃなく一本勝負の短距離走みたいな感じでしたが、いくら昔は天才だったとはいえ、もう何年もブランクが有る昌也が、ついこの間まで現役でそれなりに鳴らしていた自分に勝てるわけがない、何か小細工を考えてるなら自分が潰してやると言うみさきを無言でぶち抜くシーンが本当にカッコいい。

    ここにきてみさきも気づいたようだ。
    力でねじ伏せに来ているのは俺の方だと。

    という短いモノローグがあるんですけど、震えましたね。なんだこのカッコよさは。全シーン中でここが一番すき。あと真白マッマがエロい。エロシーンくれ。

    莉佳ルートは他の面々に比べるとあんまり印象に残っていない。というより黒渕が呆気なさすぎてガッカリしたんですよねえ。莉佳VS黒渕の前にもうワンクッション入れておけばグッと来たと思うのだけれど……そこまで悪いルートでもないのでもう少し描写を足してればと、やはり惜しまずには居られませんでした。
    あと普通に空中でキスしてましたけど、あれ弾かれないんですかね? 確か真白ルートでもそんなのがあった気がしますけど。

    明日香ルートは期待はずれという意味では一番かも知れません。個人的に明日香ちゃん大好きな上に前にやったのがみさきルートだったのでハードル上げすぎた感ありますが、それを加味してももう少し何とかならなかったのかと。
    基本的には共通で出てきた強大な敵である乾を打倒するためにみんなが団結して立ち向かうという王道展開なんですけど、
    乾を倒すために明日香を強化選手に指定し、それに対してあまり反発がないのが違和感強くて……特にみさきも普通に協力してるしなあ。真藤が練習相手になるのもそうだし、昌也のトラウマ克服もそうだけど、都合よく団結しすぎているのがなんとも……。
    あとこのルートはFCの戦術、戦略がピックアップされたみさきルートと違い、大技というか必殺技オンパレードのインフレ状態でこのあたりもコレジャナイ感が。というより乾のポジション取り戦法の優位性もあまり出てないしなんなんだろうか。
    でも演出は図抜けているルートだと思いましたね。最後の会心の出来のCGラッシュも素晴らしかった。
    また、VS乾戦で明日香ちゃんが髪飾りにお願いをする辺りとかみんなとの練習を試合に重ねながら六芒星やら何やら繰り出した後に、太陽と明日香ちゃんの姿が重なってハイパーローヨーヨー(このネーミングだけは何とかならなかったのだろうか)放つ辺りとかベタベタながらもストレートで響くものはありましたし、楽しめたといえば楽しめたんですけど、やはり今までと別物感強すぎて受け入れられないんですよね。バランサー外しとかもキツい……このルートが良ければもっと評価したんだけどなあ……上の方で六話は良い意味でFCをぶち壊したと言いましたが、このルートは悪い意味でぶち壊してくれましたわ。

    あ、あと昌也は個人的に本編内で復帰はせずにコーチに徹してたのは良かったと思います。最初は挫折系主人公ならそこからの這い上がりを描き、無双させるのが良いんだろと思いましたけど、終わる頃には別になくてもいいなと。コーチという立場だからこそ明日香ちゃんに畏怖する描写とかも生きましたしね。
    でもエピローグ後の時間軸での真藤VS昌也は是非に見てみたい。



    ◆えっちなしーん

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    シーン数は明日香、真白、莉佳が2。みさきが3とやはり少ないです。
    尺自体は長めですし、描写も丁寧でCGもエロいので決して手を抜いているとかはないのですが、声優の演技がイマイチなのと、シーン数の少なさがどうしても目につきますなあ。せめて全員3ぐらいにしてよ。何よりフライングスーツのエロが莉佳にしかないのはガッカリ。真白マッマとか我如古さんとか乾、イリーナ、佐藤院とかサブキャラも魅力的だったのにないしなあ。
    やっぱSpriteはクソ、サカモトアキラはクソ。


    感想は以上です。
    不満点もありますけど、なんだかんだで今年自分がやった中では一番楽しめたエロゲでした。私が途中で投げた恋チョコを出したあのSpriteがここまでのものを作ってくるとはなあと驚きと悔しさがありますけど、良いエロゲだと思いますよ、本当に。気になる方は体験版を是非にどうぞ。
    あ、でも戯画のゲーム以上にディスク頻繁に要求してくる仕様は勘弁して欲しい。やっぱサカモトアキラはクソ。

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