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    イモウトノカタチ 感想

    作品名イモウトノカタチ
    メーカーSphere発売日2012年8月31日
    原画武藤此史、こだまさわ、橋本タカシ、すいみゃ(SD原画)シナリオなつかぜかおる、朝倉誠理、太刀風雪路
    Ducaムービーfeat.works
    対応OSWindowsXP/Vista/7お気に入り度7/10
    ディスクレス点数62点
    プレイ時間約20時間(管理人基準)



    ――記憶の片隅に、かすかに残る妹の面影。



    Sphereさんの新作、イモウトノカタチのレビューです。タイトル名がダサいとかそういうことにはつっこまないからね。
    それはともかく、八月発売の中ではそれなりに期待されていたであろう本作ですが、蓋を開けてみれば平凡な萌えゲーと言った感じで、毒にも薬にもならず、良く言えば安定。悪く言えば期待外れというところでしょうか。

    以下は詳細な感想です。(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)




    攻略に出来るヒロインは美優樹、あやか、千毬、隠しヒロイン二名の計五名。但し、隠しヒロインは二人まとめての攻略になり、ルート自体もその他のルートを終わらせるまでロックが掛かっています。
    攻略はマップ画面で狙いたいヒロインの場所を選ぶだけなので超簡単です。ちなみに全ルートクリア後におまけ程度の内容ですが各シナリオのアフターも解放されます。
    攻略順も美優樹ルートに多少ネタバレがありますが、大体の方が序盤で予想できる類のもののため、気にするほどではないと思います。


    システムについて。
    スキップ、バックログ、オートモード、個別のボイス設定、右クリックでのウインドウ消去などに加え、ボイスカットの設定、ムービーの音量設定があり必要なものは全て揃っていて不満は感じないと思います。
    解像度をかなり細かく弄れるのもプラスですね。


    次にCGに関してです。
    背景は平均的で特に文句もない出来なのですが、テキストとの齟齬が多い印象。学園祭などで背景にモブが一人もいない上に飾りつけもやたらしょぼいので、手抜き感が否めません。また、病人が点滴などを付けられている、という描写があってもCGには特に何も描かれていなかったりするので、気になる人は気になるかもしれません。

    CGはと言うと複数原画にしては絵師ごとによる違和感も少なく(唯一イベントCGでの男性キャラが絵師によってかなり違いますが)、クオリティはそれなりに高く安定していると思います。
    ただ、塗りが淡白というか薄味気味なので、そこら辺は好みが分かれそう。


    次にメインのシナリオ&キャラクターについて。
    世界観は近未来の日本。自然との共生を目指した街作りを掲げていて、太陽光発電など自然エネルギーを積極的に取り入れ、国から環境特区として認定されている鵠見市の白鳥環境特区が舞台。
    また、この町はかつて大規模な豪雨災害に見舞われた過去があり、現在でもその傷跡が残っているという萌えゲーにしては珍しく重めな設定。

    キャラクターは主人公やヒロイン、サブキャラともにそれぞれの個性などがキチンと描き分けられています。ただ、萌えゲーらしく人物ではなくキャラクターとしての味付けなので、リアルさはあまりありません。掘り下げも浅め。

    さて、恐らくは本作の最もたるマイナス要素と思われる主人公の雪人なのですが……控えめな表現で言うならばキチガイ。(ぇ
    何故、キチガイなのかと言うと天然という言葉ではとても説明できないアホさ加減に尽きます。一応、本人には自覚があるようですが、気を付けなきゃと言った一日後には同じ失敗を繰り返す(それも一度ではない)など、鶏並みの記憶力と明らかに欠如した判断力を披露し、プレイヤーに正常な記憶力・判断力があることの大切さを教えてくれます。マイマザー無事に産んでくれてありがとう。
    また、自分本位の暴走も度々見られ、「それはやっちゃ駄目だろ」。ということを息を吐く様に次々とやらかすその様は地雷原を駆け抜ける死に兵そのもの。
    あまりこういうことは言いたくないのですが、正直、褒める点が見当たらず、現時点での2012年ワースト主人公と言わざるを得ないです。
    常識に囚われない(知らない)キャラなのでライターさん的には非常に動かしやすい主人公なんでしょうけどねー。ユーザー側からすれば我慢できないほどではないにしても大分厳しいキャラです。ビジュアルも春哉の方がずっとカッコイイですし。
    それにしてもボイスがなくて本当に良かった……。


    キャラクターのCVはどれも合っていたと思います。また、あやか役の人は新人(?)さんぽいですが、それを感じさせない演技でとても良かったと思います。
    ついでに言うと、杏子さんファンの方は普段は聴けないようなハジケた演技をミータで聴く事が出来るのでそこもポイントですね。

    以下は男女別お気に入りキャラ。

    男……春哉。
    女……律佳、あやか、美優樹、理事長、真結希、ミータ。


    キャラクターはどれも可愛く、掛け合いのテンポも良いので前述の主人公さえ気にしなければ楽しく読むことが出来ます。
    特にあやかが体験版以降から本領を発揮し始め、非常に可愛いかったですね。気持ち悪いお嬢様キャラやうざったいツンデレという訳ではなく恥ずかしがり屋な女の子のキャラにしたのはGJと言わざるを得ないです。
    その他ヒロインもそれぞれ可愛いので、この点が本作で一番魅力的な所だと思います。キャラゲーとしては優秀な部類かと。


    テキストは読みやすいです。特に言うことのないエロゲ一人称。視点変更時はウィンドウの色が変わり、大抵モノローグ部分にその人物のボイスが入るので、間違っても混乱することはないでしょう。作中時間も常に左上に表示される上に、一日が終わるごとにアイキャッチも入るので時系列の把握も容易。(萌えゲーで時系列の把握が意味を成すのかはともかく)
    ただ、テキストのブレはそこまでないのですが、複数ライター故か雪人を筆頭にキャラのブレがチラホラ。特にあやか、千毬辺りは特定の物事に対する考えかたがルートによって異なっていたりするので違和感を覚えました。


    そして、シナリオについて。
    お話の内容としては以下のような感じ。
    十五年前に鵠見市を襲った豪雨災害で両親を失くし、自身の妹も行方不明になってしまった主人公・雪人は施設に預けられた後、苦労はしているものの平穏無事に学生生活を送っていた。
    そんなある日、かつての故郷、鵠見市がニュースで取り上げられていることを知る。災害から十五年。復興の節目を迎えた市は過去の記録を一般公開することを決めたのだ。
    災害による行方不明者が多々おり、再会出来ずにいる者も居る中、再会を果たした人が居るのも事実。雪人は記憶の片隅に、かすかに残る妹の面影を追い求め、鵠見市へと向かうことを決意する……。

    とまあ、こんな感じ。話の展開としては鵠見市へと舞い戻った主人公が、単位互換制度を利用し期限付きでその学校に通いながら、自分と同じ境遇を持つ美優樹と妹捜し(兄捜し)をしていく、という展開。
    基本的に仲間とワイワイ学生生活を謳歌しながら妹捜しをするという、そこまで中身がない内容なのでシナリオの重きは普段の掛け合いに掛かってくる訳ですが、ここに関しては十分、面白いと言えるレベルです。

    ただまあ、前述の主人公がちょっと重要なシーンとかシリアースな場面でその凶悪さを発揮しちゃうのでそこは結構なマイナスポイント。
    正直、二人三脚でのおんぶは( ゚Д゚)ハァ? って感じでしたけどこれはまあ、二人三脚自体がパフォーマンス的な意味合いが強く、観客が楽しめればそれでOKな雰囲気もあったので良しとしましょう。美優樹ちゃんの水着エロいですしね。ここは良い場面ですよ! とばかりに主題歌のインスト流すのは笑いそうになりましたけど。
    た・だ・し! 重症の真結希を病室から許可もなしに自分の都合で雪が降る外に連れ出すのは完全にアウト。どこぞの西武のサヨナラデッドボールより酷いですよ、コレ。ここは本当に( ゚Д゚)ハァ?通り越して( ゚д゚)ポカーンってなったのは私だけじゃないはず。



    あとはですねえ……明らかに上のような無味無臭の萌えゲーの中にシリアス要素をふんだんに組み込もうとした形跡が度々、見受けられるのですが、その悉くが存在をぼかした程度で掘り下げられず、明らかな伏線である千毬の両親の引きこもりの理由。雪人の情報がロックされていた訳。謎の組織(研究者の残党? 都市開発に関わっている企業?)の暗躍。災害が人為的なものor人為的なモノが原因で引き起こされた可能性(理事長の言と雪人の両親の手紙を鵜呑みにするならば、可能性というかほぼ間違いなく、天候操作か何かしようとしてその原因で災害が起きたと思われる)etc……。
    雪人の情報ロックの件は両親が都市開発で重要なポストに付いていた研究者であることを考えると納得できなくもありませんが、その他は明らかにそこからシナリオを膨らませそうな要素であるにも関わらず、完全放置。
    正直、書こうとして書いたは良いが、手に余るので放置した感じがあって何とも……。一応、妹捜しという目的、この作品最大のテーマ、妹の在り様なんかは完結してるので文句言うほどじゃないのかもしれませんが、ここまであからさまなモノを残されるとスッキリしないんですよ。書いたならキッチリ書けと言いたい。
    しかも、それらがちゃんと書けば萌えゲーからは脱線するものの面白いシナリオになりそうな雰囲気がプンプンするので残念。
    折角、味方(?)サイドに律佳さんとか理事長居るんだからねえ……? あやかも家族と和解させてあげれば家柄的に役に立ちそうだし、武力面ではミータも居るし。勿体無いなあ。


    さて、ここまで盛大にディスって来ましたけど、褒められる点もあります。キャラの可愛さ、掛け合いの良さは前述の通り、あやかルートであやかの心が雪人惹かれていく様なんかはそれなりに良く描けていたと思いますしね。ここら辺正直軽くニヤついて居ましたよ、ええ。


    音楽について。
    BGMは曲数は平均的ですが、中々のクオリティ。世界観に合うように穏やかで優しく撫でてくるような音楽が多め。

    ボーカル曲は以下の通り。

    OP……いろんなカタチ
    ED……ツナグミライ
    の計二曲。どちらもエロゲ歌手の重鎮、Ducaさんらしい良曲。

    お気に入りはいろんなカタチ。これは個人的にはDucaさんの曲の中では一番好きです。
    儚さと前に向かう気持ちが表れた歌詞。優しいメロディにDucaさんの美声。全てがハイクオリティ。特に「もう、綺麗ごとは苦手でさ」、とか「カタチあるものなんていつも壊れやすいけどさ」、とかこの辺の歌い方がツボに入りすぎてヤバイです。この人の曲聴けて本当に幸せ。

    あと今までのDucaさんの歌で良く見られた、ストレートなラブソングって歌詞じゃないのも個人的に好きな所。いや、そのストレートの歌詞であるPlatonic syndromeとかアマオトとかも非常に良いと思うんですが、個人的にはこころの種とかこれみたいなちょっと控えめなのが好きなんですよ。
    え、お前の好みなんてどうでも良い? 仰るとおりです。


    最後にエロについて。シーン数は以下の通り。
    美優樹……5(本番2)
    真結希……2
    あやか……3
    千毬……3
    ミータ……1
    真結希&ミータの3P……1

    回数はまあ平均的。ただね、美優樹の本番少ないし、全体的に中だし少ないんですよ……。ここら辺が本当に残念。また、プレイの内容も平々凡々な和姦onlyなのであまりエロスが感じられないですね。尺は十分にあるので実用的ではありますが。
    ただ、美優樹の兄妹とバレてからのオナニーの見せ合いは美優樹の尋常じゃない様子も相まってかなりエロいので必見。妹属性を持ち合わせていない私が言うんだから結構なモノなのではないでしょうか? あと下世話な話で申し訳ないですが、オナニーシーンで初めて抜きましたよ、はい。(ゲス顔)


    感想は以上です。
    悪くはないんです。ただ、マイナス要素のインパクトが強いあまりに駄作っぽく見えるだけで、萌えゲーとしてはまあまあの部類だと思いますし、掛け合いのテンポの良さ、キャラの可愛さなんかは十二分にあるので体験版のノリがあえば、買いであると思います……少し無理があるか。

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