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    CARNIVAL 感想

    作品名CARNIVAL
    メーカーS.M.L発売日2004年5月14日
    原画川原誠シナリオ桑島由一(原案)、瀬戸口廉也、たにみちNON(補助)、寿衣谷(補助)
    NANA、YURIAムービー倉嶋 丈康、Iris motion graphics
    対応OSWindows98/98SE/Me/2000/XPお気に入り度10/10
    ディスクレス不可点数80点
    プレイ時間約11時間(管理人基準)



    かなり古いエロゲですが感想を書きたいと思います。てか、有名すぎるから何を今更、って感じですけどね。
    それはともかく、前から瀬戸口さんの名前は聞いていたんで興味はあったんですが、中々機会に恵まれず、先日、ようやくプレイしたわけですが……。

    面白い。純粋に。

    原画の川原さんの絵も素晴らしく、独特の文体で書かれるシナリオも高水準。加えて曲とムービーも良いと、かなりハイレベルなエロゲでしたが、いかんせんボリュームが今ひとつ。
    話自体ももう少し膨らませそうな感じだったのが非常に惜しいです。悔やみきれない。

    しかし、何だろう。ここまで苦しいお話は久しぶりだわ。絶妙な力加減で延々と首を締め付けられているような……そんな感じが。なんなのだ、これは。

    とりあえず、詳細な感想へ。




    攻略できるヒロインは理紗と泉の二名のみ。一応、ヒロインらしき人物はこの二人に加えて、五人居るのですが、それは完全にサブキャラ。ぶっちゃけ泉もほぼサブキャラだったりします。
    攻略は簡単。ルート構成は一章のCARNIVALから始まり、二章のMONTE-CRISTO、三章のTRAUMEREIと続くのですが、選択肢は基本的に一章を除き、バッド直行か正規ルートへの分岐のみなためです。そのバッドの選択肢も明らかにこれ選ぶとアカン、って奴がバッドなので迷いようがないですね。
    例外なのは一章で一応、このルートのみ泉寄りの選択肢を選ぶと彼女のルートへ進みます。ちなみにバッドエンドでしか回収できないCG・エロもありますので注意。

    更に更に三章クリア後に一章の終盤にイベントとCGの差分が追加されますのでお忘れなきよう。ここで追加されるイベントはかなり重要度が高いので是非、見てほしいです。


    システムについて。
    スキップ、バックログ、オートモード、右クリックでのウインドウ消去など、基本的な項目が揃っています……が古いエロゲ故か、ホイールでの文章送りがないのが悔やまれますねえ。
    まあ、最低限のものは揃っているのでストレスは感じないと思います。

    ただ、個人的に痛いのはバックログからのボイス再生がないこと。これは痛い。更にバグなのか、たまに音声が再生されない時があるのもマイナス。(一応、ロードしてやり直せば聴けますが)
    しかも、このバグは再現条件が不明の上にパッチを当てても直らないのがキツイところですね。幸いなのは起こる頻度が少ないことか。


    次に原画。絵に関してです。
    背景はモノによっては若干チャチなものもありますが、及第点。特に言う事はないですね。

    CGはと言うと、川原さんの独特の絵柄とちょっときつめの塗りが合うなら、ほぼ最強と言っても良い出来です。
    なんというか、川原さんの絵は表情が活き活きとしているんですよねー、見てて飽きないです。あと肉感的な絵と塗りが相まってやたらエロい。エロい。(大事なことだからry)
    ただ、駄目な人は駄目だと思うので、事前に絵柄はチェックしておいた方が無難です。デフォルメ色が強い絵も幾つかあるのでそこも注意。


    次にメインのシナリオ&キャラクターについて。
    世界観は何の変哲も無い現代です。
    キャラクターはさっきも言ったとおり、ヒロインらしきものが五名居たり、サブのキャラも居るのですが、それらは全て主人公の学とメインヒロイン理紗の添え物と言っても差し支えないです。(泉は若干優遇されていますが)
    CARNIVALはもう完全にこの二人の物語なんですよね。それ以外は本当にその他大勢。ぶっちゃけ百恵と麻里は何故存在しているのかもry(まあ、麻里はかろうじて舞台装置としての役割はありますが……ほぼ無に等しいけど)

    そのため、学と理紗の二人を受け入れられるかが、この作品をやる上での重要なポイントになる……のですが、二人ともかなり癖の強い人物のため、好き嫌いがはっきりと分かれるでしょうね。

    主人公の学は前述したように相当、癖が強いです。モノローグも独特の語り口で進みますし、特に一章はやや電波的なテイストも入っているので、まず、ここで振るい落とされる人が居るかも。
    加えてやや文学かぶれっぽいのでそこら辺も好き嫌いが分かれるでしょうねー。
    ただ、一応、いじめられっこの設定ですが、ヘタレではないのでそこはご安心を。どちらかというと、どんなこともさらりと受け流して、ついでに(本人は自覚していないけど)心の中や態度で相手を茶化す飄々としたタイプ。
    ただ、脆い部分も多分に含んでいるのが難しいところですね。なんというか、至る所にひびが入っている、不安定な人物なのですよ、彼は。(抽象的な言い方で申し訳ないです)

    てか、私の貧困な語彙じゃ、学を言い表すのは無理だ!
    ちなみに幼少時代と三章の彼はフルボイスです。ああ、あとは彼のアクシデントへの対処の仕方はかなり突飛なので、そこも好みが分かれそう。

    キャラクターのCVはメインの人は良かったと思います……が、サブキャラやモブに棒っぽい人が多かったかなという印象。それ以外は特に不満は無いですね。
    ただ、幼少期の学の声はミスキャストかなー。あんな風格のある声で話す小学生は嫌です(笑)


    以下は男女別お気に入りキャラ。

    男……学、
    女……理紗、詠美、泉。

    いや、さっき散々、学と理紗以外はモブみたいな言い方しましたが、キャラは可愛いんですよ。特に詠美先輩はもっといじめたかった……! なんか、声と絵のおかげで凄い嗜虐心を煽られるんですよ(笑)ついでにルートがないのも納得できない。
    あと、泉も泉で魅力的な子です。彼女のルートは突っ込み所満載の無茶な展開ですが、是非見て欲しいですね。行き当たりばったりも良い所なのに、気づいたら顔が綻んでいるという。ヘイ、キッス! イエーイ! うわーい!(←ここで堕とされた)
    あと、学はもちろんですが、二章の主役、武も非常に好感の持てる人物でした。行動はかなり無茶苦茶ですけど、その健気さがもう……それに、学が頭で色々考えて行動する分、純粋に自分の信じる行動をテキバキやっていく彼は見ててちょっとしたカタルシスがありますね。


    テキストは個人的に読みやすかったですが、癖の強い(←何回使ってるんだ)一人称で、好き嫌いがはっきりと分かれるでしょうね。心理描写が丁寧なのも特徴か。文章自体もどちらかというと小説寄り。(やや、荒いところはありますが)
    似ている作家かライターでも挙げられれば良いんですけど、自分の読んできた中では該当する人が居ないんですよねー。強いて言うなら村上春樹がほんの少しだけ似てるかも。
    文章自体は似ても似つかない別物で両者の共通点は一人称使ってることぐらいなんですけど、読んだ時の文章がスッと頭の中に入ってくる感じがなんとなく似てる……ような気がする(笑)
    何を言ってるんでしょうね、私は。


    そしてシナリオ。
    話の概要は以下のような感じ。
    嫌なことがあるとその記憶を失くしてしまう癖がある、いじめられっこの学は、いつものように自分をいじめている先輩が待つ屋上に向かうが、そこにはそのいじめに対して抗議している幼馴染、理紗の姿があった。
    それに逆上した先輩は理紗に掴み掛かるのだが、そこで学の記憶は途切れてしまう。気づいたときには血の海に横たわる先輩と着衣を乱し、気を失っている理紗が目に映る。
    その後、記憶が乱れているため曖昧な供述しか出来なかった学は殺人の容疑者として捕まってしまう。しかし、その護送中、幸か不幸か学を乗せたパトカーが事故にあってしまう。
    学はその隙に逃げてしまったが、すぐに捕まってしまうだろうということも分かっていた。ならば、せめて理紗から借りていたハンカチを返そうと決意する。
    運良く理紗に接触できたのだが、そこで偶然彼女の身体に酷い痣があるのを見てしまう。理紗がそんな目にあったのは自分がいじめられていたせいだと思った学は自分をいじめていたもう一人の先輩、詠美への復讐を決意する……。

    とまあ、こんな感じ。この時点で中々ハードな内容ですが、本編も時にコメディが挟まれるものの、終始暗い展開が続きます。ちなみに一章二章三章でそれぞれ主人公を変えて、同じお話を描くザッピング方式です。最近で似たような形式を取っていたのはすば日々ですかね。

    それはともかく、過去の回想と現在が渦巻き、シナリオを進めるごとに謎が明らかになっていく構成にはとても引き込まれ、クリックが止まりません。

    なのですが、苦しい。どうしようもなく苦しいお話です。泣くとか熱いとか萌えるじゃなくて、苦しいんですよ。
    何が悪いという訳じゃなく、ちょっとしたことの積み重ねが積もりに積もり、それが次第に学と理紗に刃を向けていく、というのが辛いし、悲しいです。劇中で理紗も言っていますが、真に悪い人、というのが居ませんからね。(あ、でも理紗の親父は純粋なクズかも)
    現在に至るまでの話が辛い故に、幼少時代の二人が屈託の無い笑顔を向けているシーンの切なさも倍増しているのがなんとも言えません。万華鏡のシーンの学の一点の曇りも無い笑顔と楽しげに万華鏡を除きこんでいる理紗は反則でしょ……なんでこの子たちが幸せになれないんだ。

    また、心理描写が丁寧故に、学と理紗に感情移入しすぎて両方の両親が憎くて仕方なかったです。久しぶりにフィクションの人物に本気で死ねって思いましたよ。
    あと、ライターの趣味か知りませんが、キリスト教に関する話が妙に詳しくて興味深かったです。趣味といえば文学ネタも多かったですね。宮沢賢治大好きなのでそこら辺はちょっと嬉しかったです。ついでに少し前に金色夜叉を授業で取り上げてくれた教授GJ。

    しっかし、三章クリア後の一章の追加イベントは心に来ますね……学の言葉の一つ一つが綺麗で、だからこそ、辛い。
    最後は理紗と結ばれて、二人で歩き出した彼らですけど、なんとかして幸せになって欲しいですね……まあ、無理なんでしょうけど。先がある程度読めるEDを呪いたくなってきますよ、本当に。
    一応、本編の続きが小説で出てるみたいなのでそちらも読みたいですね……怖いけど。



    音楽について。
    BGMは若干少なめですが、クオリティ自体は中々高く、ギター主体のロックな物やピアノメインの切ない曲もあります。個人的にはタイトルで流れ、とある人物のテーマソングのようにもなってる人類皆兄弟が特にお気に入り。
    ボーカル曲は以下の通り。

    OP……カーニバル
    ED……記憶
    の計二曲。両方ともノリの良い良曲です。特にカーニバルの完成度は素晴らしい。

    お気に入りはカーニバル。作詞はシナリオ原案の桑島氏で本編を良く表していて非常にGOOD。また、ノリの良いメロディにNANAさんの綺麗な歌声が重なり、文句の付け所がない良曲となっています。
    最後のサビに入る前の変則的なギターパートが癖になりますね。


    最後にエロについて。シーン数は以下の通り。
    理紗……4
    泉……2
    詠美……5(本番3)
    麻里……1(本番なし)
    百恵……1
    香織……1
    理紗&百恵……1
    詠美&麻里……2(本番1)

    回数はまあまあ多く、尺もやや短くはありますが、使えないことはないです……が、致命的なのは膣内射精の時に射 精 差 分 が な い こ と。これはアカン。中田氏の魅力は膣からどろりと溢れる精液だろうが! まったく、担当者は何も分かって無い。あ、中田氏を嫌がっている描写を入れたのは良かったです。
    あとは主人公がエロに対してかなり淡白なのもマイナスか。エロの目的が相手の心痛めつけるためとかの割合が大きいのも原因ですかね。
    まあ、絵と声はエロいので使えるといえば使えますが、、過度の期待は禁物。


    感想は以上です。
    濃厚なエロゲでしたね。プレイ時間はわずか11時間なのにこの密度。最近やった中では一番、物語の中に入り込めた気がします。
    とりあえず、少しでも興味がある方は是非に、是非にプレイして欲しいです。今ではDL版が安く提供されてるので手も出しやすいと思いますので、是非に!

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